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JOURNAL
2025.12.18

D.Stock代表/家具・意匠照明コーディネーター
越後 貴史

幡ヶ谷にある築52年のビルをショップ・オフィスからなる複合施設へと生まれ変わらせた「THESTEPS/ザステップス」。共用ラウンジの造作家具を手掛けたD.Stock代表 越後貴史さんをご紹介します。

商空間向けプロダクトデザイン、および感覚重視のアートワークを手掛けるD.Stock代表 越後貴史さん。
飲食店×オフィスというユニークな空間が広がる渋谷「七一飯店」にて、現在の仕事に携わるようになったきっかけや、プロダクトデザインで心がけていることなどをお伺いしました。

D.Stock代表/家具・意匠照明コーディネーター
越後 貴史

2002年、株式会社ミュープランニング&オペレーターズに入社し、FFE(家具、什器、備品)専門部署D.Stockに所属。2017年、同部署の名前を引き継ぎ独立し、商業施設向けのプロダクトデザインとコーディネートを中心に活動。家具と意匠照明のコーディネーターとして、場の背景を考慮し、相応で、背伸び感のない、心地よい場づくりを目指し提案を行う。

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―家具や意匠照明のコーディネーターになられたきっかけを教えてください。

小さい頃からものづくりをすることが好きでした。
高校卒業後は、文系の大学に進んだのですが、あまりしっくりこず、 1年ぐらいで退学することを決めました。
その後、改めて自分が向き合いたいことを考え、家具の専門学校に入学し、ファーニチャー専攻でプロダクトデザインを学びました。
卒業後は、下北沢の洋服屋さんに就職しましたが、専門学校時代の同級生がデザイン会社に勤めていたことをきっかけに、その会社で働くことになりました。
そこで私はディスプレイの部署に配属され、主に飲食店の空間づくりに携わりました。
私自身ものづくりをしたいという気持ちが強くあり、業務のなかで担当領域を少しずつ広げていくようになりました。
結果として、家具と照明とアートワークなど空間づくりの全般に関わるようになりました。
振り返ってみると、好きなことや得意だと思えることを追求し続けた延長線上に、今の領域があったのだと思います。
意図して目指したというよりは、歩んできた道の積み重ねとしてたどり着いた仕事、と言えるかもしれません。

台湾料理店「七一飯店」を併設したオフィスでの取材の様子


―THESTEPSのプロジェクトについて、オファーを受けた際の印象はいかがでしたか?

今回のお話は、インテリアデザインを担当された「BaNANA OFFICE」の尾崎さんを通じていただいたのですが、まず率直にリアルゲイトさんとご一緒できることがとても嬉しかったですね。
原宿の「PORTAL POINT HARAJUKU」や中目黒にある「THE WORKS」は、以前から良い空間だなと思って見に行っていました。
リノベーション物件が増えてきている今、手法がある程度固定化してきているような印象もあります。

その一方で、尾崎さん(BaNANA OFFICE)とであれば、理論的な部分を押さえつつも、その枠にとらわれない新しい表現や面白い試みに挑戦できるだろうという期待感がありました。

THESTEPS外観

施設開業イベントでのトークセッションの様子(right尾崎氏/left越後氏)


―今回のプロジェクトで特に印象的だった出来事やエピソードがありましたら教えてください。

少し裏話になりますが、初めて現場に伺った際、エレベーターのサイズが大型家具を搬入するには小さく、4階共用ラウンジに入れる予定の大型テーブルがそのままでは搬入できないことが分かったんです。
これは空間づくりでは時々起こることなのですが、搬入ができない場合は、家具を分割して現地で再度組み立てるしかありません。
非常にテクニカルな判断が求められる場面でしたが、職人さんたちとあれこれ相談し、試行錯誤しながら仕上げていきました。
こうした現場ならではのやり取りも含め、プロジェクト全体を通して楽しく前向きな気持ちで取り組むことができました。

4階共用ラウンジに設置した大型のテーブル


―今回手掛けていただいた造作家具の全体コンセプトやこだわりをお聞かせください。

現場を初めて訪れたとき、特に印象的だったのが、1階から2階へ上がる階段の天井です。
幾何学的な直線とRの組み合わせが非常に美しく、強く心を動かされました。
「この建物には、この造形が似合う」と直感し、空間の中で家具にも踏襲したいと考えました。

インスピレーションの元となった1、2階を繋ぐ階段

全体のコンセプトとしては、建物の半世紀にわたる歩みを受け継ぐということがあったので「どこか懐かしいけれど、“よくあるよね”というようにはならないバランス」を意識しました。
その中でもポイントにしていたのが、直線とR(曲線)を組み合わせた“ジオメトリックな造形”です。"流行りのスタイル"で終わらせないために、過去の職人がよく用いていた直線とRの関係性を、今の空間に再構築するイメージでデザインを進めました。

階段の意匠から得たインスピレーションを家具へと展開することで、建物自体が持つ魅力を引き継ぎながら、世界観をつくることができたと感じています。


―実際に造作家具が配置された空間をご覧になってみていかがでしたか?

仕上がりは想像以上に良く、非常に満足しています。
企画段階から全体像は描けていましたが、実際に完成した空間を目の前にすると、実物はさらに良かったです。

特に共用ラウンジでは、オカタオカさんのアートワークが空間に見事にはまっていて、思っていた以上の相乗効果が生まれていました。
パースの状態でも良い雰囲気は伝わっていましたが、実際の空間を見ると、アートがしっかりと効いていて、空間全体のアイデンティティを表現する要素として見事に機能していると感じました。

イラストレーターのオカタオカ氏による幡ヶ谷の街並みや本施設をイメージしたアートが空間を彩る


―越後さんが手掛けられた家具で特にお気に入りはありますか?

もちろんすべてに思い入れはありますが、新しい視点から取り組むことができたという点で、ラウンジのソファは特に印象深い家具になりました。
打合せの段階で、「深く腰掛けても、のけぞって見えない椅子にしたい」というリクエストがありました。
これまで主に飲食店向けの家具を手掛けてきた中ではあまり出会わない視点で、まさにオフィスならではのニーズだと感じ、とても勉強になりました。
その意図を踏まえながら、座面の奥行きや背もたれの角度、足の長さなどを検討し、最終的には“リラックスしつつもだらしなく見えない”ちょうど良いバランスに仕上げることができたと思います。
デザイン性に加え、実用的な機能性も兼ね備えたプロダクトができ、非常に満足しています。


―家具を作るうえで、意識されていることは何ですか?

まず「実際に置かれたとき、どのように使われるか」を考えます。
空間の中でどんな動きが生まれ、どんな使われ方をするのか。それを理解した上で、可能な限り機能性を盛り込むよう意識しています。

特に飲食店向けの家具では、スタッキングできるか、荷物を置くスペースがあるかなど、クリアすべき前提条件が多くあります。デザイン以前に“宿題”が与えられているような感覚で、そういったところをきちんと整理するところから始まります。

例えば同じ座面の高さや奥行きの椅子に、身長差が20cm近くある人が座っても、なぜか違和感なくしっくりくる。
これは日常的に使っている椅子や家具の寸法に、無意識のうちに人の身体が慣れているからだと思うんです。
家庭のダイニングでもお店でも、靴を履いていてもいなくても、環境の違いはあっても座っている椅子の高さは大きくは変わらない。
そうした“人の感覚の共通性”のようなものを踏まえながら、創作をしています。


―最後に今後の展望をお聞かせください。

これからも、これまでと同じように“自分の手の届く範囲でしっかりと向き合える作品づくり”を続けていきたいと思っています。

独立してからもうすぐ10年になりますが、当時は「いつか小さな飲食店をやってみたい」という思いがありました。
その願いが、オフィスと飲食を掛け合わせた「七一飯店」という形で実現したのは、自分にとって大きな出来事でした。
この店は“商売”というよりも、“作品”として育てているような感覚に近いです。

私が飲食店のディスプレイをしていた頃から感じていたのは、個人店のオーナーの世界観がしっかりと滲み出ている空間は、絶対にかっこよくなるということです。
その考えはいまも変わっていません。だから私がディスプレイの仕事をするときは、まず“架空のオーナー像”をつくるんです。

例えば──フレンチのお店だったら、フランスで修行をしていて、自転車を愛していて、サッカー好きかもしれない、そんな人物像を想像しながら空間を組み立てていく。
そうすることで、自分の中でストーリーが生まれ、空間の世界観にも自然な説得力が生まれていきます。
「七一飯店」に並ぶアイテムも、すべて自分が心から好きで、時間をかけて集めてきたものばかりです。
そんなふうに、これからも自分の好きなものを追求し続け、作品づくりを続けていければと思っています。

●Other projects



01.
THE CITY BAKERY(2023年)

国内約50店舗を展開するニューヨーク発ベーカリーカフェ「THE CITY BAKERY」のオリジナルチェアをデザインしました。
シンプルで機能的でありながら、ストイックになりすぎない印象に仕上げています。



02.
2416MARKET (2019年/NEWoMan 横浜)

旬の野菜や果物、グロッサリーなどの食物販と、地元で愛されるコスメ、カトラリー、ホームケアグッズなどが幅広く揃うマーケットプレイス「2416MARKET」 区画内什器とアートワークのディレクションを担当しました。インテリアデザインはBaNANA OFFICE尾崎さんです。



03.
Mini Game

このミニゲームは、学校でオープンソースのプログラミングを使用していた息子との何気ない会話から生まれました。プレイヤーは、上から落ちてくる椅子をスタッキングしていきます。椅子のデザインは、これまで描きためてきたスケッチに加え、近しい作家さんたちのイラストも使用させていただきました。気軽に楽しんでもらえたら嬉しいです。

Mini Game

「THESTEPS」について

渋谷区幡ヶ谷一丁目に位置する築52年のビルをリノベーションした、ショップ、オフィスからなる複合施設。
「継ぐ素材」をデザインコンセプトとし、長く愛された建物の歩みや造形を受け継ぎ、新しい時代に繋いでいくという想いが込められています。
地域の方々に愛され、幡ヶ谷という街に自然と溶け込むような施設を目指していきます。

名 称:THESTEPS /ザステップス
所在地:東京都渋谷区幡ヶ谷1-29-2
交 通:京王新線「幡ヶ谷駅」徒歩6分 小田急線・千代田線「代々木上原駅」徒歩15分

OFFICIAL WEBSITE

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