- 石井 保子 / Yasuko Ishii
- 大阪出身。ブライダル、ホテル業界でウェディングプランナー、ホテル総支配人補佐を経験した後、コスメ製品・食品の企画、オーガニック・アロマスパを運営するナチュラルコスメ会社にて広報、商品開発に従事。
様々な業界での経験を経て、2018年12月株式会社IRiS Tokyoを設立。現在は、アロマ事業に加えて、一般社団法人「CORD PROJECT」の広報、ウェルネスを軸としたライフスタイルの提案、プロデュースを行い、新たな価値を創造することを事業の一環とし、更なる活動の幅を広げている。 - Instagram→
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JOURNAL
vol.170
JOURNAL - 2023.03.28
JOURNAL - 2023.03.28
vol.170
石井 保子 Yasuko Ishii/アロマ空間デザイナー
THE MODULE roppongi・STANTION kitasandoのアロマ空間デザインを手掛けるIRiS Tokyo代表 石井 保子さんをご紹介します。
アロマの持つ機能性とインテリアやカラーなどのデザイン性を合わせて、より質の高い香りの空間を演出する“アロマ空間デザイン”。アロマ空間デザイナーとして、ホテル、商業施設、オフィス、飲食店舗など幅広いシーンでアロマ演出を手掛ける香りのスペシャリストIRiS Tokyo代表の石井保子さんにお話しを伺いました。
Q. 「IRiS Tokyo」を設立された経緯を教えてください。
昔から独立願望はある方で、何か自分でやりたいという思いがずっとありました。
旅行で訪れた箱根の老舗ホテルの香りに魅了された実体験をきっかけに「香りがあることでどのような感情、空間が生まれ、記憶に残っていくのか」「香りで空間をデザインする」ということに興味を持ち、さらに深く学びたいという思いから香りの世界へ飛び込みました。その後、香りを含めて自身のこれまでの経験をきちんとアウトプットしていきたいという思いを掲げて、2018年に会社を設立しました。
Q. アロマ空間デザインの魅力とは何でしょうか。
私自身が感じている一番の魅力は、アロマ空間は、その場に行くことでのみ体感できるものであり、香りは時間の経過と共に定着し、その場の空気を変えることができたり、心地よさや癒し、活力を与えてくれるきっかけになるものだと思っています。日常でここの雰囲気が好き、この空間は落ち着くなど、様々な場所で感じるシーンがあるかと思いますが、人によってはインテリア、BGM、スタッフのおもてなしなど、それぞれの視点で心地よさを感じ、香りもその中の一つであり、時に色んな要素を繋げてくれる役割にもなると思っています。
Q. どのようにしてオリジナルの香りを作られているのでしょうか。
先ずはコンセプトやターゲット、インテリアデザイン等、香りのイメージも含めてヒアリングさせていただき、それが通過型or滞在型、パブリックorプライベート空間で使用するものなのかをマトリックス状で考えます。それを元に天然香料(精油)それぞれが持つ特性を考慮して、トップ、ミドル、ベースとピラミッド状になるようにバランスを考えながら、何パターンかの試作を制作し、そこから選定、アレンジしていただく流れとなります。
Q. THE MODULE roppongi・STANTION kitasandoの香りはどのようなイメージで開発されたのでしょうか。
THE MODULE roppongiの香りは、立地やインテリア、施設のトレードカラー(濃紺)より、静けさの中にもクリアな感覚が研ぎ澄まされるような”深海”をイメージし、ペパーミント、クラリセージなどのクリアでバランサーと言われる清涼感あるシトラスハーブを取り入れるなど、深い奥行きと光が差し込むようなクリアで心地よい感覚が生まれる空間を表現しました。
また、メインコンセプトである”第6感を研ぎ澄ます、5つのコンテンツ”からも、燦々と入ってくる自然光、アート、植栽、サウンド、そして香りが融合し、自然体であって心地良い、鮮やかな感覚を感じられる空間となるよう、全体のバランスを大切に着手しました。
▲持ち運びできる施設と同じ香りのアロマミストをノベルティとして制作@THE MODULE roppongi
STANTION kitasandoは、どこかビンテージ感のある温かい雰囲気と、照明などには近未来的な印象を受けながら、北参道と言えば、100年の歴史を持つ明治神宮につながる参道であることからも、全国から献木された木々が生い茂る自然豊かな杜をイメージし、和に偏りすぎず、ウッド系の穏やかな落ち着きと、都会的でクリエイティブな要素を融合させた香りを表現しています。
また、どちらの物件も初めての試みでもある音と香りのコラボレーションにより、より五感を体感でき、心地良さを感じる空間づくりを実現できました。
▲天井から音と香りが降り注いでくるような不思議な感覚を感じられるエントランス空間@STANTION kitasando
Q. 香りを手掛けるうえで、大切にされていることは何でしょうか。
ただいい香りをつくるというよりは、香りを通じてその先につながるストーリーを描く提案を心掛けています。例えば、ホテルや商業施設の場合は、そこで滞在するゲストに視点を当てて、お越しいただいてから、滞在中、お帰りなるまでを一つのストーリーとして考え、どのようなシーンで展開するのが良いか、その他のアイテムや場所とどう繋げていくのが良いかなど、ブランディングも含めてお話をさせていただくことが多いです。
また、香りはアパレルのスタイリストにも似ていると感じることがあるのですが、自分が好きな方向性の香り(服)とは別に、プロジェクトやコンセプト、その先にいる人に向けて、嗜好に偏ることなく、機能性とデザイン性をバランスよく組み立てていくこと。そして、前にも述べていますが、香りは時間と共に定着していくもので、そこには現場で管理してくださるスタッフの方、その場を訪れる人によって創られていくものだと思っているので、導入後も現場で管理してくださる方とのコミュニケーションは大切にしています。
また、香りはアパレルのスタイリストにも似ていると感じることがあるのですが、自分が好きな方向性の香り(服)とは別に、プロジェクトやコンセプト、その先にいる人に向けて、嗜好に偏ることなく、機能性とデザイン性をバランスよく組み立てていくこと。そして、前にも述べていますが、香りは時間と共に定着していくもので、そこには現場で管理してくださるスタッフの方、その場を訪れる人によって創られていくものだと思っているので、導入後も現場で管理してくださる方とのコミュニケーションは大切にしています。
Q. 最後に、今後の目標や展望を教えてください。
今後は、これまでずっと自身のテーマにあった“美と健康”“心地よい空間をつくる”ことをさらに具現化させていくことを目標に、ウェルネスを軸とした、食×香り、アート×香り、スポーツ×香りなど、表現の方法は多様にアレンジしながら様々な分野と掛け合わせて新たなシナジーを生み出していくことや、ホテルや商業施設、食関連、商品開発など、香りの側面だけではなく、これまでの経験をアウトプットしていけるような、トータルしたプロデュースを担っていきたいと思っています。
あとは、現在広報として携わっている一般社団法人「CORD PROJECT」をさらに多くの方に伝えていくことです。CORD PROJECTは、地域スポーツ、障がい者スポーツ、社会スポーツ、アスリートの支援を活動とし、スポーツを通じてウェルビーイングな未来を創ることを目的として立ち上がったプロジェクトなのですが、ただスポーツを広めていくのが目的ではなく、運動基礎を正しく身につけることで運動嫌いな子供をなくし、スポーツ教育を通じて心身の健全な成長支援、環境においては、地域コミュニティ、街づくりの一つとして、今後様々な分野や企業様とのコラボレーションも視野に入れて大きく拡げていきたいと思っています。個人的には、スポーツ×デザインなどにも非常に可能性を感じており、人が集まる、笑顔になる、ワクワクする“場づくり”ができると最高ですね!
あとは、現在広報として携わっている一般社団法人「CORD PROJECT」をさらに多くの方に伝えていくことです。CORD PROJECTは、地域スポーツ、障がい者スポーツ、社会スポーツ、アスリートの支援を活動とし、スポーツを通じてウェルビーイングな未来を創ることを目的として立ち上がったプロジェクトなのですが、ただスポーツを広めていくのが目的ではなく、運動基礎を正しく身につけることで運動嫌いな子供をなくし、スポーツ教育を通じて心身の健全な成長支援、環境においては、地域コミュニティ、街づくりの一つとして、今後様々な分野や企業様とのコラボレーションも視野に入れて大きく拡げていきたいと思っています。個人的には、スポーツ×デザインなどにも非常に可能性を感じており、人が集まる、笑顔になる、ワクワクする“場づくり”ができると最高ですね!
―WORKS
01-「鴨と醸し 鼓道」
ジャンル:和食店
導入場所:エントランス、お座敷通路、男女パウダールーム
「森の動物の小道」がコンセプトである鴨料理と発酵料理の飲食店。店内は、動物の切り絵、BGMには小鳥のさえずりをMIXしたボサノバが流れており、料理、器、細部にまでこだわりを感じるインテリアの数々。モダンさの中にも落ち着いた和の雰囲気のあるインテリアと、店内の導線は小道をイメージしていることから、動物たちが美味しい匂いを嗅ぎつけてのそのそと集まってくるような森をイメージし、日本を代表するクロモジを含む、静けさの中にもじわーっと温かく包み込んでくれるような心が鎮まる香りをテーマにスタイリングさせていただきました。飲食×香りは初めての試みでしたが、食と関連の深い木質系、ハーブ系のブレンドを取り入れることでバランスよく融合し、より奥行きのある上質な空間となりました。お昼はお蕎麦と親子丼、夜は鴨料理(鴨鍋、鼓道八珍)がおすすめです。
02-「ラソールガーデン熊本」
ジャンル:レストラン・ウエディング会場
導入場所:エントランス
熊本の新しいランドマークとして誕生した商業施設”サクラマチクマモト”に直結する「LAZOR GARDEN KUMAMOTO」。コンセプトである”クラシカルな落ち着きと、モダンコンチネンタルスタイルが融合する、都市型クラシックモダン”より、素材で使用している木や石などの自然のぬくもりと和の風情、現代的なデザインが華やかに融合した空間を加味し、親しみを感じるほんのり甘い柑橘系に、柔らかで温かみのある木質系を合わせた、心地よいくつろぎと活力を与えてくれる香りを表現しました。香りは主張しすぎず、エントランスからふわっと心地よい香りが流れてくるような感覚を得られるように、空間への噴霧状況も細かく設定させていただきました。屋上のスカイガーデンから熊本城、熊本の街が一望できる贅沢な景観も見どころです。
03-「ザ・ルイガンズ. スパ&リゾート」
ジャンル:ホテル
導入場所:サウナ、スパトリートメント、物販
海・空・光・緑が織りなす自然の絶景に囲まれた、福岡の国営公園・海の中道に位置する「ザ・ルイガンズ. スパ&リゾート」。メキシコ近代建築家の巨匠ルイス・バラガン氏に由来し、バラガン氏へのオマージュをメインコンセプトとしたリゾートホテルであること、ホテルの目の前に広がる青い空と海から連想し、清涼感溢れるシトラスハーブ、甘さとスパイシーさのある木質系を併せもつ、心地よい寛ぎと創造的なエネルギー、クリアな爽快感を感じる香りを表現しました。香りのタイトルには、Beachをスペイン語で『Playa(プラーヤ)』と名付けました。
日本初の移動可能なコンテナサウナ“SANTENA”のキューゲル(アイスアロマボール)、ホテル敷地内にあるスパ「ザ・スパ〜ルス デル ソル〜」でのトリートメントで使用していただくアロマボディオイル、物販でのアロマミストをオリジナルの香りでトータルプロデュースさせていただきました。ホテル滞在を通して新たなライフスタイルの発見ができる、私の一押しのホテルです。