JOURNAL

vol.020

JOURNAL - 2018.12.20

JOURNAL - 2018.12.20

vol.020

オフィスの条件は ”白壁”と”コンクリートの床”

世界にひとつだけの手描きのデザインを生み出し、世界へ発信するクリエイティブカンパニーHUESPACE。代表を務める須藤 仁さんにお話を伺いに、中目黒のTHE WORKSを訪ねました。



HUESPACE INC. 須藤 仁さん




所在地 目黒区青葉台
業 種 デザイン・マネジメント
面 積 オフィス25㎡
入居時期 2014年11月
入居物件 THE WORKS

INTERVIEW

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世界にひとつだけの手描きのデザインを生み出し世界へ発信するクリエイティブカンパニーHUESPACE。3名のクリエイターが所属し、代表を務める須藤仁さんがディレクションやクリエイターのマネージメントを行っています。
クリエイターの中には、仁さんの弟でもある、須藤俊さんも所属。現在NYなど世界中で活躍するアーティストで、水墨画を思わせる筆遣いと、ストリートカルチャーの影響を受けたポップなグラフィティは、どの作品をとっても受け手をわくわくさせる魅力があり、話題を集めています。

そんな作品が創り出される彼らのオフィスは中目黒にある「THE WORKS」。NYのリノベホテルをモチーフとする、古びた倉庫の雰囲気漂う建物の中の一画。代表の須藤仁さんにここにオフィスを構えた理由やこだわりを伺ってきました。

シェアオフィスで得たヨコの繋がり

駆け出しのクリエイターの中にはどんなに素敵な作品を描いても発信する術を知らない人も多い。そんなクリエイターたちの作品をもっと世界に発信していきたいという思いのもと、クリエイターたちのマネージメント会社として2012年株式会社HUESPACEは設立された。現在は中目黒にオフィスを構える同社だが、設立から3年間は表参道青山通り沿いにある弊社シェアオフィス「PORTAL POINT AOYAMA」に入居。須藤さんは当時まだ駆け出しだった弟・俊さんのマネージメントをし、彼の作品を多くの人に知ってもらうべく活動していた。

当時、「東京の中心であること」を第一条件にオフィスを探し始め、たくさんの不動産屋をあたり、自分の足でも歩きまわってオフィスを探した。しかし、コストや立地など希望の条件を満たす物件はなかなか見つからなかった。そんな時にたまたま友人が教えてくれたのが以前入居していた「PORTAL POINT AOYAMA」だった。

▲PORTAL POINT AOYAMAの共用ラウンジ

須藤:
入居時期といい、用途といい僕らにはピッタリでした。定期的に行われていた交流会で当初まだあまりなかった人脈が広がりました。そこから仕事に繋がる事も多かったので、スタートアップがPORTAL POINT AOYAMAだったのは最高でした。



同社にとって、会社設立当初にシェアオフィスに入居していた経験は、大きなメリットだった。“シェア”ならではの空間のオープンさ、人のフランクさが、コミュニケーションを生み、仕事に繋がり、現在でも一緒に仕事を依頼し合うことがあるそうだ。

白壁とコンクリートの床だけの、何もない空間を求めて

設立から3年目を過ぎたころ、俊さんの個展開催の話が進み始め、会社が軌道に乗り始めたこともありオフィスの移転を考え始めた。
しかし5年前と同様、なかなかピンとくるものに巡り合えずにいた。実際に目黒川沿いのデザイナーズ物件なども検討してみたが、原状回復義務や内装工事に制限が多く、候補から外したそうだ。

ちょうどその頃、デザインの仕事の依頼を受けたのが現在入居する竣工前の「THE WORKS」だった。リノベーション工事中は同施設に毎日通っていたそう。


須藤:
始めは入居するつもりはなかったんです。屋上テラスのウォールアートや階段のサインを描いている間に、徐々に仕上がっていくのを間近で見ていて、「これはまさに自分たちが求めているオフィスじゃないか」と、すぐに入居を決めましたね。

▲引渡し前のシンプルなオフィス空間

そんな同社が物件を探すにあたって最も重要視していたのは、”何もない空間であること”


須藤:
作品には色が入るので、オフィス選びの絶対条件は、余計なものが何もない、白壁にコンクリートの床であることでした。そして、キャンバスに描いた作品を、ギャラリーのように展示してしっかりと見せる事が出来る場所であることも僕たちにとっては大切なポイントでしたね。



白壁にコンクリートの床のオフィス空間に加え、中目黒という立地、建物全体や入居者の雰囲気も気に入ったそう。


また、俊さんが描いたウォールアートが存在感を放つスカイテラスは、今では中目黒を一望できる入居者たちの憩いの場となっている。
この開放感あるスカイテラスも決め手のひとつになったそうだ。

▲スカイテラスのウォールアートを描く俊さん

▲中目黒を眺望できるスカイテラス

“白”דフラット”、作品を魅せるオフィス

オフィスの中は、白い壁とコンクリートの床、そして白で統一されたインテリアが整然と置かれたシンプルな空間。

須藤:
なるべく物を置かずに、白い空間を保ってフラットである事にこだわっています。ギャラリーという場所は基本、全体的に白なのでテーブルなどの家具も白系で統一するようにしています。絵を描くだけでなく何かを作る時は、フラットで白というのがいいと思うんですよね。


▲白いシンプルなインテリアで統一されたオフィス

クリエイターたちが存分に作品づくりに没頭でき、作品を魅せるオフィスにしたい。それなら、オフィス自体に色や存在感が無い方がいい。出来るだけシンプルなオフィスでありたい。そんな須藤さんの思いが形となったのが現在のオフィスである。

「白」と「フラット」にこだわり、オフィスの存在感をあえて消すことで、作品がより一層映える。こだわりの白い壁に飾られたポップでカラフルな作品がとても印象的だ。

壁や床に飛び散った色とりどりのペンキの跡や、俊さんが作業中に着ているペンキだらけのウィンドブレーカーさえも、作品の一部のように見えてくる。シンプルな空間だからこその結果だと思う。

クライアントにプレゼンする際も、白い壁一面使って作品を展示することで、デスク上で作品を見せるより、よりダイレクトに魅力が伝わり、とても便利だそう。

ある時はクリエイターが作品制作を行なうためのアトリエとして。またある時は完成した作品を見てもらうためのギャラリーとして。時と場合によって使い分けられるのも、何もないシンプルな空間ならではの魅力的な一面。

中目黒からもらうインスピレーション

賑やかな駅周辺から少し離れると、自然豊かな目黒川周辺には個性的なショップが点在していて独特のカルチャーが根付いている中目黒。仕事の合間には、オシャレなカフェで一息ついたり、緑いっぱいの公園で思いっきり体を伸ばしたり…。


須藤:
自転車で移動する事が多く、インスピレーションが沸くようなものが目に入ってくるし、そこから色々感じ取ることもできます。目黒川沿いを歩くだけでも気分転換になりますよ。



いい仕事をするには、ちゃんとリセットする時間を持つことも大切だと語る須藤さん。


「普段はシンプルで何もないオフィスなので、キャンバスだけでも飾ってみました。」と、取材当日話してくれました。白い壁に映える作品を見れば、彼が何度も言葉にしていた「何もない、白くフラットな空間であること」が、同社にとっていかに重要な要素であるのかがすぐに伝わりました。


「クリエイターたちの作品をもっと世界に発信していきたい」


そんな彼の思いを体現するオフィス。これからもHUESPACEから生まれる作品が楽しみです。

Company Profile
HUESPACE INC.
WEBSITE : https://www.huespace-inc.com/
業種  :デザイン・マネジメント



物件情報
名称   :THE WORKS
所在地  :東京都目黒区青葉台3丁目18番3号
構造   :鉄筋コンクリート造 地上5階建
竣工年  :1969年1月(2004年4月耐震補強工事実施済み)
リノベーション竣工:2014年11月
WEBSITE :https://ordermade-tokyo.jp/for-rent/theworks/