JOURNAL

vol.093

JOURNAL - 2020.12.22

JOURNAL - 2020.12.22

vol.093

エンジニア業界に変革を。ルールに縛られない新しい働き方

JUNCTION harajukuに入居する、株式会社リベロエンジニア代表取締役 金子 周平さんにお話しを伺ってきました。




株式会社リベロエンジニア 代表取締役 金子 周平さん

所在地  渋谷区神宮前
業種   システムエンジニアリング事業/ソフトウェア受託開発事業/労働者派遣事業
面積   63.22㎡
入居時期 2020年9月
入居物件 JUNCTION harajuku

INTERVIEW

  • Share on

竹下通りに象徴されるストリートファッションやキャラクターなど、独自のカルチャーが生まれる東京の情報発信地でありながら、明治神宮や代々木公園など神聖で緑豊かな自然を望むこともできる多面的な街「原宿・神宮前エリア」。
神宮橋交差点、表参道に面し、シンボリックなエントランスが目を惹くクリエイティブオフィスJUNCTION harajukuに「株式会社リベロエンジニア」はオフィスを構えています。

今回は、エンジニアの雇用形態に新しい選択肢をもたらす、同社の代表取締役、金子 周平さんにお話しを伺いました。

■「新しい第3の働き方」の実現に向けて

―事業内容、金子さんの経歴について教えてください。
主にシステム開発の請負やエンジニア派遣事業などを行っています。
もともと僕自身がシステムエンジニアで10年以上プレーヤーとして働いてきた経験から、IT業界の華やかな世界の裏側で、エンジニアは下請けの下請けのような多重請負構造による報酬面の低さや、決まった取引(商流)の中でしか業務ができない「窮屈さ」を感じていました。
そこで、自分自身が会社員をやめてフリーランスになろうと思ったとき、収入面や社会的信用、健康など様々なリスクに悩まされ、正社員雇用でありながらもフリーランスのような働き方ができる方法はないかと思い、2014年に会社を立ち上げました。

今でこそ副業解禁や働き方改革などが話題になってきましたが、設立した7年前は社員とフリーランスの間という自由な働き方は時代的にまだ受け入れてもらえず、理解してもらうのに時間がかかりましたね。

会社の世界観として、社員とフリーランスの間の「第3の働き方」の実現を掲げています。会社に属する安心感とフリーランスのような自由さを両立させた環境を、エンジニアに提供しています。


―具体的な事業の仕組みについて教えてください。
一般的な派遣会社だと案件ごとに値段が定められていて、経営者の取り分があり、残りがエンジニアの取り分となっています。この経営者に不当に搾取される構造が嫌で、弊社では給与形態は売り上げに対して一律の還元率、約8割を定めています。弊社に転職してくる人の年収でいうと、平均で100~200万上がることもありますね。仕事はスキルと経験に応じて本人の意思で選択してもらい、副業も可能です。会社というよりもコミュニティーに近いと思います。

また弊社は、高い技術力を持ったエンジニアが在籍し、社員としての保証と高報酬が選択できるフリーランスの働き方を可能にした「エンジニアにとって最もバランスの取れた環境」を提供することで、実力派エンジニアが所属したくなる仕組みを構築しています。


―経営を行っていく上で大切にされていることはありますか。
第一に社員には、ソロプレイヤーとして自立できることを前提としています。
エンジニアの芸能事務所をイメージしていただけるとわかりやすいのですが、社員はタレントであり、仕事のオファーを頂いている以上、技術力だけでなく人間力も必要であると伝えています。
自分がどうやったら相手から選んでもらえるのか、というのを常々みんなには考えてもらっていて、僕は基本的にサポートの立場に回り、マイクロマネジメントは絶対にしません。社員にとって社長(雇用主)ではなく、パートーナーのような存在でありたいと思っています。

ビジネスの世界は「信用の積み重ね」であり、その結果が信頼に繋がると考えます。
特に今回のコロナ禍で、今まで積み上げてきた会社の信用が顕著に現れ、今後信用を中心としたブランディングが重要になってくると思います。

■オフィスコンセプトは“CREATIVE SELECT STORE”

―もともとリアルゲイトの運営する施設にご入居いただいておりましたが、今回オフィス移転に至った経緯についてお聞かせください。
社員も増え、クライアントに対してもしっかりしたオフィスを構えるフェーズにきたので、次のステージを見据え、「会社のブランディング」を考えての移転でした。リアルゲイトに今のオフィスよりも広い区画が空いていないか相談したところ、ご紹介いただいたのが建設途中のJUNCTION harajukuでした。

1964年開催の東京オリンピック翌年に建設された歴史的な建物で、近隣には創建100周年を迎える明治神宮があり、私たちにとって少し背伸びではあるけれども、この場所にオフィスを構えることの重みを理解した上で決断をしました。
オープン前の工事段階で申し込みをした為、完成したオフィスを見てから決めることはできなかったのですが、今までのリアルゲイトさんのお仕事を考えたら確実にいいものを作ってくれる、という絶対的な信頼がありました。

▲JUNCTION hatrajuku外観

▲ラウンジスペース

―ありがとうございます。オフィスのこだわりポイントやコンセプトについて教えてください。
オフィス移転とともに社名も変更するので、新しい会社のイメージを打ち出し、かつオフィスとしてだけではなくスタジオ(ショールーム)のような使い方もしたいと思っていました。

デザインコンセプトは、会社(ショップ)がセレクトしたものをクライアント(ファン)は良いものであると思い購入する、原宿のカルチャーを形作る“セレクトショップ”の構造と似ていることから、「CREATIVE SELECT STORE」を掲げました。クライアントとなるお客様のご要望に沿う、特性やスキルを持った優秀なエンジニアを派遣する弊社のサービスとリンクしています。

木目調でナチュラルな家具選定、バランスの良い植栽の配置などで、オフィスっぽさをなくしつつ、居心地の良い執務空間を実現できたと思っています。
HPやSNS発信用の写真は、このソファで撮影していて、スタジオのような”セット”となる場所ができたのも良かったです。

また自然光が差し込む大きな窓と、窓ガラス外の緑のバランスも絶妙で、これは室内だけの演出でできるものではないので気に入っていますね。

入口のパーテーションは、職人さんが何百本とある木を一つ一つ組み立てて作ってくれました。
シェアオフィスでありながら、専有部にこだわりを持って仕上げたことで、社員のモチベーションにも繋がるオフィスにできたかなと思います。

▲執務室内の会議室スペース

▲入口のパーテーションは職人さんの努力の結晶

■シンボルとしてのオフィス

―現在コロナ禍によりオフィスの在り方が変化しつつありますが、これからのオフィスについてどうお考えですか。
ワークスペースとしてのオフィスの必要性は減りつつありますが、会社のシンボルとして必要だと思います。
もともと弊社社員は客先在駐型の仕事が多く、コロナ禍により在宅で仕事をすることも増え、1人で作業をしていると自分が何者なのか見失ってしまうことがあります。だから、オフィスというシンボルがあることが社員にとってすごく重要になっていると思います。
またYouTube等のSNSでの発信が主流になってきている今、オフィスはコンテンツを作る場所、情報発信の場であるスタジオにも近い気がしています。
今後は、自社に対しての思いが育めるオリジナルなものとして、コンパクトだけど高機能な、そんなオフィスがより必要とされてくるのではないでしょうか。


―現在、技術書20冊を毎月無料で配布するユニークな企画をされていますが、きっかけは何だったんでしょうか。
コロナウイルス感染拡大による自粛期間中、エンジニアたちは家で勉強をしているという声が多かったので、会社として何か支援できないかなと思い、技術書をプレゼントすることにしました。技術書は1冊5,000円くらいするので、若手のエンジニアにとっては何冊も買えるものではないんですよね。
会社を立ち上げて7年、この業界で仕事ができるのも市場のエンジニアのお陰だと思っています。少し余裕がでてきたところで、エンジニアたちに還元できればいいなと。経営で大切にしている“信用の積み重ね”と一緒で、これからも続けていく予定です。

■ビジネスの可能性は無限大

―最後に今後の展望についてお聞かせください。
中心はシステム開発やエンジニア派遣ですが、プラスアルファいろんなビジネスに挑戦していきたいです。これは在籍しているエンジニアによってコンテンツは変わってくると思っていて、例えば“調味料の擬人化”がその一つです。
「IPビジネス(※)って面白そう、擬人化が流行っているよね。ターゲットが女性の場合何ができるかな。」なんて何気ない社員との会話から、キッチンに立つ回数が多い女性に対して、調味料の擬人化(アイドル化)のアイデアが浮かび上がりました。社内にアイドル系のコンテンツに強い人、漫画家をやっている人がいたことから、あっという間にグッズまで完成し、本当にエンジニアというタレント次第でコンテンツは無限大に広がるなと感じました。
(※)IPビジネス:自社で作り上げた、知的財産をライセンスとして販売するビジネス。著作権・ブランド・キャラクター・特許・意匠登録など知的財産(IP)全般を指す。

投資事業も行っているので、パートナーシップ契約を締結して、社内だけでなく社外との協働開発やコミュニティーを広げていきたいと思います。
経営理念の「エンジニアをもっと自由に」は、広い意味で「働く人全員をもっと自由に」に通ずると思っています。自由=パラダイスではないので難しいですが、働く一人ひとりが主体性や創造性を発揮できる環境作りを実現していきたいです。

「会社員」と「フリーランス」の間の“第3の働き方”を提唱し、「1人ひとりのエンジニアが楽しく働き、自己実現ができる世界」を目指すリベロエンジニアは、まさに唯一無二。
高い技術を持つエンジニアをはじめ、多彩な才能を持つ“仲間”が在籍し、新しい価値を創出し続ける同社の飛躍が楽しみです。

■Company Profile
会社名: 株式会社リベロエンジニア
HP  : https://libero-en.jp/
業種 : システムエンジニアリング事業、ソフトウェア受託開発事業、労働者派遣事業
創立年: 2014年5月


■物件情報
名称   : JUNCTION Harajuku
所在地  : 東京都渋谷区神宮前6-35-3 コープオリンピア1F
構造   : 鉄骨鉄筋コンクリート造 地下1階地上11階建
竣工年  : 1965年3月
リノベーション竣工: 2020年7月
WEBSITE :https://junction-harajuku.jp/