JOURNAL

vol.157

JOURNAL - 2022.12.01

JOURNAL - 2022.12.01

vol.157

体験を通して世界観を表現するショールーム

PORTAL POINT Yoyogi-Koenに入居する、株式会社bydesignゼネラルマネージャーの松本 好司さんにお話しを伺いました。




株式会社bydesign
ゼネラルマネージャー 松本 好司さん

業種   家具の企画製造・小売業
入居物件 PORTAL POINT Yoyogi-Koen
面積   99.83㎡
所在地  東京都渋谷区代々木5-7-5 1F

INTERVIEW

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2018年のスタート以来「短納期&無料サイズオーダー」という強みと、ミニマルでデザイン性の高い商品テイストによって、首都圏を中心に、20-30代の感度の高い顧客層に支持を得ている家具ブランド「KANADEMONO」の運営を手掛ける株式会社bydesign。
これまでオンラインで家具販売を行ってきた同社が、体験型ショールーム「KANADEMONO BASE」を昨年9月に「PORTAL POINT Yoyogi-Koen」にオープンしました。
オープンから1年が経った今、リアル店舗を構えた意味や、「PORTAL POINT Yoyogi-Koen」を出店場所に選ばれた理由など、様々なお話を株式会社bydesignゼネラルマネージャーの松本さんに伺いました。

―はじめに、御社の事業内容を教えてください。
インテリアの企画・製造・仕入・販売を中心に、家具ブランド「KANADEMONO」の運営を行っています。
「KANADEMONO」はもともと、家具のD2Cブランドとしてスタートし、天板と、鉄脚の自由な組み合わせを強みとしたプロダクトを展開していて、「THE TABLE(ザ・テーブル)」というシリーズをメインプロダクトとして取り扱っています。
天板の種類は一通りの無垢材が揃っており、リノリウムも21色展開しています。脚も、黒がベースですが、ステンレスや、白、最近はカラーも始めて展開幅を広げています。
そういった組み合わせの豊富さと、サイズオーダーも無料で、1センチ単位で可能なので、誰もが自分好みのインテリアと出会える家具づくりを行っております。

―天板と脚の自由な組み合わせや、サイズオーダーなど、そのユニークな商品展開を選ばれたきっかけはありますか。
沢山のブランドが展開されている家具業界で、どういったところだったら自分達でもやれるかなと考えた時に、知名度や価格では難しいと感じ、展開するものは何か少しユニークなものであったほうがいいかなということがはじめにありました。
理想のテーブルをどう作ろうかと、世界中を旅してフランスや、スペイン、東ヨーロッパを巡っているときに、創業メンバーが、カフェやホテルで見るテーブルの脚などの、洗練されたデザインを見て、「こういうのないよな」、「自分たちで作れないかな」、というところから、カスタマイズする発想を得ている部分もあります。
なので、あえて選んだというよりは、旅やリサーチを重ねていき、どういうニーズがあるかを掘り下げて自分たちができることを探していくうちに、自然と今の展開方法に辿り着いていました。

▲豊富な素材やカラーの組み合わせが可能

―展開されているプロダクトは「ちょうど良さ」を大切にされているとのことですが、KANADEMONOさんが考える、「ちょうど良さ」とはどういったものですか。
それが現れているのはやはり、カスタマイズという部分なのではないかと思います。今までは大半が既製品から選んだり、サイズがあってもS、M、Lみたいに決まっていたり、限られた選択肢の中から選んでいくというのがベースで、特に家具に関してはよりそうなっていたと思います。
「KANADEMONO」では、お1人でも、家族構成や、住むお部屋によっても、それぞれに合った「ちょうど良い」を提供しようと思っています。
特に日本は間取も様々で、決して広くはない物件も多いことから、実現しようとすると、自由な素材や色の組み合わせ、1センチ刻みのサイズオーダーなどは当たり前の機能として必要でした。
可能な限りそれぞれの生活に寄り添える形を提供し続けることが、「ちょうど良さ」につながっていくと考えています。

▲ウェブサイトでは4つのテイストに分けてコーディネートされた様々なお部屋を参考にして自分に合った「ちょうど良い」家具をみつけることができる

―それぞれのライフスタイルに寄り添った「ちょうど良い」を提供されているんですね。
はい、まさにそうです。それと、「ちょうど良い」というところでいくと、天板と金属脚だけというシンプルでスタイリッシュな構造のテーブルが、数年前だと日本の市場にはなく、執拗にデザインされたものばかりでした。
その時に感じた「シンプルなままがちょうど良いのにな...」という気持ちが、自分たちで「ちょうど良さ」を作ろうとなったきっかけでもあります。


―昨年オープンされた体験型ショールーム「KANADEMONO BASE」についてお伺いします。
この場所(PORTAL POINT Yoyogi-Koen)に、ショールームを構えようと思われたきっかけはありますか。

いわゆる家具屋さんというよりは、新しい空間にしたいなというところがありました。
お客様が自由に組み合わせを楽しめる場を作りたいという思いから、体験型のショールーム的に出店したいなと考えていました。そうなると今の場所みたいに比較的広さがないと、成り立たないので、天井の高さや全体のバランスなど、いろいろと見た中でこの物件にたどり着きました。
周辺の環境や、歩いている人達の雰囲気も、「KANADEMONO」が表現したい世界観と相性がいいなと感じ、このPORTAL POINT Yoyogi-Koenに決めました。

▲昨年オープンした体験型ショールーム KANADEMONO BASE

▲壁面を中心に天板サンプルや家具が豊富に陳列された店内

▲セレクトされた家具やアートはどれもオリジナルアイテムとの相性を考えセレクトされている

―ショールームのこだわりのポイントがあれば教えてください。
壁面の什器設計をディスプレー的にも、意匠的にも見やすく、それでいて、世界観を表現できるものにしたことが一つと、なかなか伝わりづらいんですが、一番のこだわりはリフトを使った天板の出し入れなんです。内装業者の方や様々なパートナーの方たちと一緒に、どうすれば一番スマートに出し入れできるかを何度も試行錯誤しました。
天板って場所をとって置けなかったりするんですが、ここではしっかり置きたいね。という話になり、色々考えた結果、今のリフトで出し入れする形になっているので、こだわりのポイントとしては大きいですね。

▲天板の移動に欠かせないリフト

天板の種類も増えてきていて多くの枚数積み上げるのは、物件によっては難しいんですけど、「PORTAL POINT Yoyogi-Koen」はしっかり天井の高さがあるので、そこを活かしてリフトで引っ張ってこれるというところは、この物件だからこそのメリットですね。
今日、更に上に3段追加する予定なんですよ。これって他の物件だと難しかったなと思います。

―確かに、壁側に縦積みされていると見やすいですね。
機能としてもそうですが、リフトを使って取り出す動作も目を引いて印象的だなと思いました。

そうですよね。弊社はD2Cで創業時からウェブでの販売を行っています。だからこそ、オフラインで店舗を構えるのであれば、特別な体験みたいな部分に繋げたいという思いがあり、そういった部分にこだわって体験型のショールームをつくりました。

―「KANADEMONO BASE」が出来たことで、実際に商品を見れることを楽しみにされてる方も多くいらっしゃると思いますが、オープンから1年が経った今、感じていることはありますか?
お陰様で沢山の方に足を運んでいただいています。
実際に営業をしてみてお客様と対面でコミュニケーションを取っていく中で、むしろこちら側がインプットする情報がすごく多いなというのは一番感じました。

ご来店していただくお客さま皆さまがサイトの隅々まで見ていただいていることがとても多くて、「これ、あのページのですよね」と聞かれ、「そこまで見ていただいてるんですね」という会話になることがよくあります。そんな嬉しい情報も実際に足を運んでいただいたからこそ気付けたことだと思います。
他にも、「その組み合わせが気になるんだな」、「(素材の)ここが気になるんだ」みたいな新鮮な発見も多く、実際にやりとりしてみないと分からなかった部分が沢山ありますね。
お客さまの声を生で聞いて情報共有できるということは、今までなかったことなので、本当に毎日沢山の発見をさせていただいています。

ショールームは予約制なので、どうしても予約が取れないことや、すぐいっぱいになってしまうというお声も沢山いただいているので、どうにかスムーズにご案内できないか急いで模索中です。

―そういったリアルな場所での体験の価値とはどういった部分にあると感じますか。
オンラインシフトが進んではいますが、日本のEC化率はまだ、10パーセントに満たないんです。まだまだ、購買のメインとしては、オフラインが主流なので、現場に足を運んでいただくという価値は引き続き今までと変わらないものもあるんだろうなとは思います。
商品を販売する機能としてももちろんですが、空気感やこだわりを感じてもらったり、特別な体験をしてもらったりと、実体験を通してブランドの世界観を伝えることはオフラインでしかできないことだと思いますし、そういう体験には特に価値があると思います。
ウェブサイトの中の表現だけではなく、実際に来ていただくことでその場所で感じる雰囲気や、流れている音楽、その一つ一つの組み合わせなど、商品だけでは表現できない世界観が伝わる場としては、オフラインにかなうものはないと思います。

―実体験を通して世界観に共感してくれる方は、よりコアなファンになってもらえる感じもしますよね。
まさにそうだと思います。今までと同じではなくて、そういった意味合いを持って常にアップデートしていけるようにしていきたいなと感じています。

豊富なカスタムオーダーを強みにそれぞれに合った「ちょうど良い」を提供し、人々の生活を豊かにする家具ブランド「KANADEMONO」が手掛けるショールームは商品を見せるだけでなく、空気感や人の雰囲気、聴こえる音など、その場所だから触れることのできる実体験を通して世界観を表現する、まさに新しい体験型ショールームでした。
今後も、その場所でしかできない生のコミュニケーションで得た情報を元に、さらにアップデートされ、リアルとウェブが融合したハイブリットなブランドとして飛躍していかれると感じました。

■Company Profile
会社名  : 株式会社 bydesign
HP   : https://bydesign.co.jp/
業種   : 家具の企画製造・小売業
事業内容 : ・インテリアの企画・製造・販売・インテリアの仕入・販売・その他EC・D2Cに関する事業
設立   : 2016年12月

■物件情報
名称   : PORTAL POINT Yoyogi-Koen / ポータルポイント 代々木公園
所在地  : 東京都渋谷区代々木5-7-5
構造   : 鉄骨造 地上7階建
竣工年  : 2020年10月
WEBSITE:https://portalpoint.jp/yoyogi-koen/