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JOURNAL
2026.02.09

BaNANA OFFICE代表/商業設計士
尾崎 大樹

幡ヶ谷にある築52年のビルをショップ・オフィスからなる複合施設へと生まれ変わらせた「THESTEPS/ザステップス」。インテリアデザインを手掛けたBaNANA OFFICE代表 尾崎大樹さんをご紹介します。

店舗デザイン、インテリア、プロダクツ、ディレクションなどを手掛けるBaNANA OFFICE代表 尾崎大樹さん。中学時代、地元鹿児島の田舎でサンサンと輝くガソリンスタンドに「街」への憧れを抱いたという尾崎さん。今回のプロジェクトで掲げたコンセプト「継ぐ」に込めた想いや、建物が紡いできた歴史を「進化」させるための意匠のこだわりなどを、THESTEPSのラウンジにてお話を伺いました。

BaNANA OFFICE代表/商業設計士
尾崎 大樹

青年時代に美術を通して愉しい場所を作ることを目的に、地元南国育ちのメンバーを中心に「BANANA BOYS」という美術集団を作り芸術活動を始める。「愉しむシーンを想像すること」がデザインの核という想いが活動の原点であり、その思想を継続するべく「BANANA」を継いで「BaNANA OFFICE」を立ち上げる。
2013年BaNANA OFFICE INC.設立、代表取締役に就任。商業建築や商業空間設計デザイン業務等、商業デザイン全般のアートディレクションを手掛ける。

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―尾崎さんが空間づくりを志したきっかけを教えてください。

建築設計をしたいと漠然と思ったのが中学1年生の頃です。地元の鹿児島に1960〜70年代の雰囲気を残したガソリンスタンドがありました。当時はコンビニもスーパーもなく、夜になると辺りは真っ暗でした。そんな田舎で、ガソリンスタンドがサンサンと光を放っていて眩しかったんです。アメリカナイズされたグラフィカルな書体やデザイン。暗がりの田舎にいた私からすると、その「明るい場所」に対して「街」への強い憧れを抱きました。
学校帰りにその場所を見に行っては、かっこいいなと思い、ずっと絵を描いていました。くすんだ赤い色のガソリンスタンドでしたが、描きながら「建物を作るのって楽しそうだな」と漠然と思ったのが、設計を志したきっかけです。

また、私の父は電子関連の堅実な事業を営んでおり、「継いでほしい」と言われることへの反発心もあり「建築がやりたい、デザインがやりたい」という思いがどんどん強くなっていきました。当時は団地住まいだったこともあり一軒家への憧れも強く、暗がりの中でガソリンスタンドの眩しい光に照らされている住宅や、友達の家を見ているうちに「住宅を設計したい」という思いが膨らみ続け、中学1年の時にはすでに建築学科を目指そうと決めていました。


―BaNANA OFFICEとして大切にしている設計のスタンスや考え方について教えてください。

「BaNANA OFFICE」という社名は、私が南国育ちということもあり、もともと南国の仲間たちとアート展示や音楽イベントなど「愉しいことを形にする」というスローガンのもと活動していたのがルーツです。

ただ、私たちの仕事は商業の設計です。大切にしているのは、自己満足で終わらせず、クライアントのビジネスに対していかに空間や箱をフィットさせるかという点です。そこで意識しているのは、「余白」です。デザインは、「足し算・掛け算」になりがちですが、作り込みすぎず、「引き算・割り算」を意識する。かっこいいものは誰もが好きですが、かっこよすぎると人は居心地が悪く感じることもあります。世界観を、どうマーケティングに落とし込み、クライアントと一緒に着地点を見つけるかということを心がけています。


―今回設計デザインをされたTHESTEPSのお話を最初に聞いたとき、どのような印象を持たれましたか。

一番最初の入口は、建物がもともと「鉄骨階段」を製作している横森製作所さんが半世紀にわたって大切に使用していた本社ビルだったということでした。私自身、こういう仕事をしていて鉄骨階段のディテールは好んで取り入れているので、マニアックな鉄のディテールや長年使い込まれた特有の素材感が残っているのではないかと思い楽しみでした。

2F/3Fの共有ラウンジ

また幡ヶ谷は、これまでもよくプライベートで子供たちを連れてスポーツセンターや商店街に遊びに来ていました。最近では、若い方が楽しく事業をされていて、面白い店も増えてきたなと思っていた場所でした。そんな私にとってもゆかりがある土地です。

建物としては、エントランスを入ってすぐにある「階段室」が非常に印象的でした。アルミの手すりや壁の素材感など、70~80年代にしか作れなかった、今では復刻できないようなディティールが美しく残っていたので、これは活かすべきだと感じました。

THESTEPSの階段室


―設計を進めるうえで、特に意識されたコンセプトやテーマは何でしたか。

コンセプトは「継ぐ(つぐ)」です。 長く愛されてきた会社さんからバトンを受け取り、地元のマインドを継承していく。単なるリノベーションによる「変化」ではなく、歴史を積み重ねる「進化」を目指しました。

この「継ぐ」というコンセプトは割と抽象的なので、どういうものを継いでいくかによって全く違う空間になります。今回は、経年変化を楽しめそうな素材の中から、プロジェクトメンバーで「いいね、かっこいいね」と思えるものだけを使い、継いでいくことに注力しました。
先述した階段の手すりの素材感は、特に「継ぐ」というコンセプトを体現できたのではないかと思います。

無機質な鉄のディティールを残し、新たに木の温もりを継いだ手すりのデザイン

また、特に意識したのはカラーチャートです。もともとの建物のポテンシャルである鉄骨の黒皮(くろかわ)材の黒を活かしつつ、新たに暖色系の素材を重ねました。いわゆる木の色ではなく、赤茶っぽい色の中から厳選して素材を重ねています。新しく継ぎ足したところは暖色系とすることで歴史ある黒と新たな暖色が心地よく共存する空間になっています。

現場でのインスピレーションや、コンセプトを固め過ぎないことで、当初パースでイメージしていたものを上回るようなデザインになりました。建物の素材感を最大限に活かしながら、この場所でしかできない新しいことができたと思います。


―今回のプロジェクトの中で印象に残っているエピソードはありますか。

「歴史を継いでいく」ことがコンセプトなので、工事中のプロセス自体もその歴史の一部だと考えました。そこで、たまたま現場に置いてあった「工事灯」にふと目が留まりました。これを何かに活かせないかと思い、今回ラウンジの造作家具を手掛けていただいたD.Stockの越後さんへ相談したところ、見事なアレンジを加えてくださり、スタンド照明として生まれ変わりました。
普段は工事中のアイテムを改良して使うなんてことはしませんが、今回の「継ぐ」というコンセプトにも合っているのではないかと思います。

現場を照らした工事灯が、空間を彩るスタンド照明へ

静かに存在感を放つ、越後さんアレンジの造作照明


―完成した空間を、どんな人に、どのように使ってほしいですか。

やはり、この幡ヶ谷という街に魅了されている、新しい世代の方々に、ここを拠点として街を楽しんでほしいですね。
こういう場所が作られれば、必ず「あそこに面白いオフィスがある」「店がある」と人は集まってきます。感度が高い人たちが集まることで5年、10年かけて街の景色がより良くなっていく、街に変化が生まれる、そのきっかけになれればいいなと思います。

THESTEPS 1FのSedai Coffee / hebeerryk! wineshop (カフェ、ワインショップ&バー)


―尾崎さんが今後取り組んでいきたい空間づくりや今後の展望を教えてください。

建築士としては、社会課題でもある「空き家問題」や「空き箱問題」に向き合っていきたいと考えています。私たちなりの目利きで、古い建物を複合的な施設に変える取り組みも面白いなと思います。

また、個人的な展望としては原点回帰で「住宅」の設計をより深めていきたいと思っています。ある種、趣味の世界になってしまうかもしれないですが、こだわりを追求しながら、共感し合える方々と共に理想の住まいを形にしていきたいと思っています。これまで商業設計で培ってきた知見や発想を、人生に寄り添う「住空間」に注ぎ込むことができれば、これほど幸せなことはありません。

●Other projects



01.
NEWoMan 新宿/横浜 FOOD HALL

食を通じて新たな過ごし方+新たなコミュニケーションを創り出せる自由で開放的な新しい食区(街)を提供する「FOOD District」。

NEWoMan 新宿 FOOD HALL

NEWoMan 横浜 FOOD HALL



02.
2416MARKET

2416MARKETのコンセプトは、「もっと地元が好きになる」。「神奈川」のライフスタイルを「触れる」「食する」「持ち帰る」ことのできる場所として、新たな人と人の関わり+地域と地域の関わりを生み出し体現することをテーマにした店舗。

「THESTEPS」について

渋谷区幡ヶ谷一丁目に位置する築52年のビルをリノベーションした、ショップ、オフィスからなる複合施設。
「継ぐ素材」をデザインコンセプトとし、長く愛された建物の歩みや造形を受け継ぎ、新しい時代に繋いでいくという想いが込められています。
地域の方々に愛され、幡ヶ谷という街に自然と溶け込むような施設を目指していきます。

名 称:THESTEPS /ザステップス
所在地:東京都渋谷区幡ヶ谷1-29-2
交 通:京王新線「幡ヶ谷駅」徒歩6分 小田急線・千代田線「代々木上原駅」徒歩15分

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