JOURNAL

vol.161

JOURNAL - 2022.12.21

JOURNAL - 2022.12.21

vol.161

志津野 雷 Rai Shizuno/写真家・映像作家・CINEMA CARAVAN主宰

the Folks BY IOQ、PORTAL POINT HARAJUKUのプロモーションムービーを手掛けた写真家/映像作家の志津野 雷さんをご紹介します。

CREATORS

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Play with the Earthをコンセプトに、世界を旅する「CINEMA CARAVAN」が贈る、11日間だけ海辺に現れる野外映画館「逗子海岸映画祭」の発起人でありthe Folks BY IOQ、PORTAL POINT HARAJUKUのプロモーションムービーを手掛けた写真家・映像作家の志津野 雷さんにお話しを伺いました。

志津野 雷 / Rai Shizuno
写真家/映像作家。CINEMA CARAVAN主宰。
1975年生まれ鎌倉育ち。カメラマンとして世界中を撮影しつつ、地元・逗子をベースにした活動にも力を注ぐ。ANA機内誌「翼の王国」等雑誌、Ron Herman等広告撮影の他、アーティストとのコラボレーション制作にも力を注ぐ。逗子海岸映画祭を立ち上げ、移動式野外映画館プロジェクト『CINEMA CARAVAN』を主宰と、その活動は多岐に渡る。今年9月にはドイツのカッセルで開催された、世界的国際美術展「ドクメンタ15」へ参加し国内外で活躍中。
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▲野外映画館「逗子海岸映画祭」

Q. 3年ぶりの開催となった逗子海岸映画祭へ思いや印象に残ったことを聞かせてください。

毎年やる、やらないのジャッジを僕ともう一人のパートナー(長島源)でリーダーシップを執っているのですが、去年は単純に気が乗らなかったんです。マスクの問題など、不透明な部分がありすぎて。。。
今年は映画祭をやろうというよりも、いろいろなものが少しずつ理解できてきて、今年やりたい、みたいな感じになっちゃって、みんなに相談したら、むしろ今年やらないともう映画祭忘れちゃいそうだしやりたいよね。と、みんな同じような思いで「そうだよね、なんか感じていたよね」というところからザワザワしだしました。なので、例年よりだいぶ遅れて企画を始めました。
元々、完成がきれいに整っている映画祭をやりたいというわけではないので、いまだ準備中くらいの感じで開催するのもありかなと思っています。そんなノリだったので、よしやるぞというよりも、ようやくピンときた感じで、それに従おうかなというくらいで気楽にスタートできました。

▲湘南エリアの初夏の風物詩となった「逗子海岸映画祭」には多くの人々が来場する

特に印象に残ったのは雨の日に開催した「Youth Culture Day」で、すごく良かったです。
映画祭始めたときは8歳くらいだった自分たちの娘たちや、先輩の子供たちが十数年たって20歳になって今回仲間を集めて、ブッキングからスケジュール立てまですべて自分たちで行い1日をコーディネートしました。その日は、周りのお父さんお母さんたちは、うるうるしちゃって。

元々そういう場を自分たちでつくるという思いが、映画祭のスタートでもあったりもするし、そうやってきた。次世代のためとは思ってもいなかったのですが、勝手に育ってくれてやってくれてるっていうか。
子どものために何かをとかではなく、やっぱり自分たちが楽しんで、それがどんどん波動のように引っ張っていくと思います。
だからそういった意味でも、彼らが自主的にやりだしたっていうのは結構大きくて。一緒にやれるっていう感覚が強くなって、それをやってくれる子たちが世代を超えて増えてきたっていうのは大きかったですね。
それと、みんな待っていてくれていたっていうのも感じました。お客さんは来てくれて、結果みんな楽しそうにしてくれていたからよかったです。逗子のコミュニティーが2年分それぞれ溜めていたものがあったりして、それを放出する場として地元でできたっていうのは、みんなにとってもとても大きかったと思います。

Q. ドイツ・カッセル開催された世界最高峰の国際美術展「ドクメンタ15」に初参加されて感じたこと教えて下さい。

以前から親交のあるアーティストの栗林 隆の繋がりで参加させてもらいました。
今回の「ドクメンタ」のテーマは”ノーアート・メークフレンズ”という異例のテーマでした。感覚をアートと物質的なもので価値や、お金をつくっていくというよりも、もっと現象や、友達、人間が出すエネルギーなど。なかなか表現しづらい部分ですけど、そういうほうが今、時代に合っているんじゃないのっていうので、”ノーアート・メークフレンズ”。アートの祭典なのにアートしないみたいな。
そこで発表されたときに、逗子のCARAVAN、誰?という感じになっていて、前評判はざわざわざわ。今回ドクメンタ大丈夫?みたいな。
でも、”ノーアート・メークフレンズ”っていう意味は、映画祭を十何以上やってきたコンセプトそのまんま。だから無理にアートを語る必要もないし、そのまま本当に映画祭の普段の雰囲気をやってほしいだけだから、ただいつもの感じで来てくれればいいって言ってくれて。じゃあ、遊びに行けばいいだけですねって。すごくすてきな誘いでノーストレスでした。

▲「ドクメンタ15」に乗り込んだ「CINEMA CARAVAN & TAKASHI KURIBAYASHI」

実際ふたを開けてみると、みんなそれぞれ思いがあるから、ここぞとばかりに結構強いメッセージも多く、政治力も強いのでちょっと結構荒々しくなっていきました。
そういう状況になっていることもあり、結果、みんなアートを見に行っても結構激しいし少し疲れちゃって。CARAVANの所に来ると、薬草スチームサウナがあり、いい音楽がかかっていたり、映像が流れていたりして、そこにはにこにこの日本人が14人いて「WELCOME CINEMA CARAVAN!」とか言っちゃっているから、みんな、ローカルの人も、オアシスみたいな状況になっちゃって(笑)。
「彼らの出すエネルギーは一体、根源は何だ!?」みたいに新聞にフォーカスしてもらったりもして。俺たちもそれは別に、言葉にならないんですけど、行くと温かいとか気持ちいいとか、ものすごくポジティブになるみたいな。それって何って分からないんだけど、それがCARAVANの良さで、友達のようで友達でなかったり、ただみんな好き勝手に集まっているだけ。お互い干渉しないんだけど、尊重し合っている仲間みたいな。実はその物質じゃなくて現象みたいな状況が、うまく今回のテーマとはまって。結果1カ月くらい現地にいたんですけど、今でもInstagramで「今日どこでやんだ?」とか、「週末やるのか?」とか、みんなCARAVANレスになってくれていて、温泉や、水飲み場みたいな場所じゃないけど、そういうところは手応えとしてありました。

CINEMA CARAVAN

CINEMA CARAVAN

CINEMA CARAVAN

CINEMA CARAVAN

CINEMA CARAVAN

CINEMA CARAVAN

▲「ドクメンタ15」の会場では映画上映の他、地元のハーブを使ったサウナ「元気炉」を披露
今回も映画祭をやっていたから、ドクメンタに繋がったわけで、行き当たりばったりの生活を繰り返し、ぴんときたほうに進んでいっていて、そういう感性みたいなものを大事にしてきた。常識でこれをしなきゃいけないってなると、できなかったときにストレスになるし、そういう状況になると良くないので、そうじゃない状況をつくる。
本当にみんなが好きなことだけをやるという小さな集合体がちょっとずつ、波動のように広がって、自然と人が集まってくるっていうのを改めて感じました。

Q. 世の中ではオンラインイベントが多くなってきていますが、リアルな場での体験型の活動にこだわる理由を教えてください。

体験とか現場で人と会うっていう感覚はネット上ではない感覚で、本来の人間のセンスや感覚というものは現場や外で感じるものだと思っています。
僕はサーフィンをしている時は、何メートルもの高波で高得点を出したいとは一度も思ったことはなくて、そこにいる時間や、サーフボードを持って海にいる時間、スキーを持って山にいる時間など、体感している時間というものが人間本来の「感覚」を育んでくれるっていうことをいつもびんびんに感じています。

▲2020年夏に開催された車の中で映画鑑賞できるドライブインシアター湘南・三浦半島の夜を彩った

正直ここまで極端な世の中になるとは思っていなかったですが、社会問題や、色々なものを自分の目で確かめて、体験をしてきた上で、極端にいうと、避難所のようなつもりで映画祭もアミーゴもやっているんです。いざとなったときの人と場所の繋がりみたいなものをつくっておくことこそ必要だと思っていて、そこに自分たちがやりたいことや、見てきことをシェアする場を作るのが面白い切り口だなと思い、映画館や、野外映画館をはじめて、それを移動させてしまおうか、ということが根底にあってもう十年以上やっています。
ここ2年は社会的に遮断されていましたけど、ずっとリアルな場にこだわって活動してきたので、オンラインで何かをというのは考えなかったです。逆にいうと、こんな時代になったから、リアルにこだわってやってきたことが、自分たちにとって一番の財産だったなと。先見の明じゃないですが、ピンと感じたものを信じて続けてきてよかったと思いますね。

Q. 志津野さんの原動力は何ですか。

僕は本当に楽しむことしか考えていないんです。でも、いい意味で人の期待を裏切るとか、自分のワクワクした体験を人に伝えると、皆もワクワクして楽しいんじゃないのかなというのはあります。様々なキッカケを散りばめて、それを遠くからファインダーを覗きながらみんながどう楽しむかワクワク見ているような感じは好きですね。
映画祭もそうですが、今までの関係性で、バスクやいろんな国の人たちを呼んできたんですが、現地で出会ってこれ絶対、逗子に連れていったらみんなワクワクするんだろうなって思いがきっかけで、実現するにはどうすれば良いかと考えることが次の自分のアクションを押し上げてくれています。そこには時間とお金も惜しまなくなっちゃうし、それって原動力になっているんでしょうね。

▲CINEMA CARAVAN in BASQUE 2013/バスクでの会場作りの様子 

あとは、見てきたものをそのまま伝えたいみたいな変な正義感が強い部分があります。
みんなにとってネガティブかもしれない部分も、リアルなものとして伝えます。一瞬みんなシリアスになるんですけど、別にネガティブを伝えたいわけではなくて、どういうふうに次の行動を起こせば良くなるかということを考えたらもっとワクワクしない?みたいな。そういう現象を投げていくのは自分の役割だと思っているし、キャラバンもそういうリアルな場としてのメディアと考えています。

Q. シネマキャラバンの今後の展望を教えてください。

何をするとかは毎回決めていないんです。あんまり展望掲げて、その道を外れたときに、そうなってないじゃんってなると、何か自分の中でも、あれ、これっていけない道なのかなって、自分で自分を不安に思っちゃうきっかけにもなっちゃうし、そういう呪縛も嫌ですし。
それぞれがワクワクしてやりたいことをやれることが一番ストレスもなく、みんなが生き生きしている状況をつくれると思っています。心の支えとか、心の奥にキャラバンというものがあったり、そういう強みみたいなものさえあれば、あとは好き勝手にやれる状況でいいのかと。必要な分だけお金を稼ぎたい人はバランスを保てばいいと思いますし、その辺りもそれぞれです。キャラバンとして毎年、これぐらいを目標にお金を稼ごうということはこの何十年、目標にしたことはないんですよ。のらりくらりしてるねって言われるんですけど、そののらりくらりこそ一番強いと思っています。

ただ、世の中が何かあって動けなくなったときでも、エンターテインメントの発表の場所は欲しいと思っています。自分の半径5キロ、10キロ圏内での楽しみや、日々の生活の豊かさみたいなものの基準を自分たちで上げていく取り組みは考えています。
何か行動するきっかけみたいなものをキャラバンや、映画祭、アミーゴが担っていければいいなと思っています。

▲大自然に囲まれた秘境世界遺産「白川郷」で行われたCINEMA CARAVAN in 白川郷

Q. 今回の制作していただいたthe Folks BY IOQの動画について、何かポイントがあれば教えてください。

今回は前作とはアプローチが少し違います。たまたま2回続けて知り合いのペインターさん(及川真雪さん)が関わる企画だったので縁深いなと思いながら制作しました。 自分の映像や写真を見せるというよりも、関係性や繋がりをいい意味で作品に利用したいなと思っていて、そういう人たちとの映像作りの中でどういうことができるのかなというところから考えて、今回は映像にアニメーションを入れるというはじめての試みになりました。
絵コンテどおりに並べてみて、ここに及川さんの絵がくるんだろうな、という想像をしてニコニコしながら作業していました。
いつもだったら、編集の時には何となくゴールが見えているのですが、今回はいい意味で未知な部分が多く、新しいチャレンジでゴールがまだ見えてないというワクワク感を楽しんで制作しました。
▲リアルゲイトが手掛ける神宮前の複合施設「the Folks BY IOQ」のPR MOVIE

Q. 最後に一言お願いします。

気楽に逗子に遊びに来てくださいっていう感じですかね。
映画を見るもよし、面白そうな人でも見たら話しかけてもよし、海や音楽を楽しみながらのんびりする時間を味わいつつ、何か自分なりの映画館みたいなものをそれぞれでつくってほしいです。

逗子海岸映画祭について

『 Play with the Earth 』をコンセプトに世界を旅する「 CINEMA CARAVAN 」が創る、ゴールデンウィークにだけ海岸に現れる野外映画館。普段は何もない静かな逗子海岸を舞台に、クリエイター達が手作りで会場を創り上げ、会期終了後、何事もなかったかのように静かな元の逗子海岸へと戻っていく。
突如出現し、また消えゆく、まさに「夢」のような舞台は、湘南エリアの初夏の風物詩となった人気イベント。

ドクメンタ(documenta)について

1955年以来、5年に一度、ドイツ・カッセルで開催される世界最高峰の国際美術展「ドクメンタ(documenta)」。
世界のアートシーンに多大な影響力を持つこの国際美術展。今年開催された第15回目となる「ドクメンタ15」にCINEMA CARAVANは現代美術家・栗林隆と共に「CINEMA CARAVAN & TAKASHI KURIBAYASHI」として日本から唯一の参加となった。
HP: https://www.documenta.de/

the Folks BY IOQについて

明治神宮前駅、原宿駅からアクセスでき、トレンドに敏感なクリエイティブな大人たちが集まるエリアに1棟リノベーションを行い2022年2月にショップ、シュアオフィス、オープンラウンジからなるライフカルチャー発信地としてオープンした複合施設。

所在地:東京都渋谷区神宮前二丁目18番19号
交 通: JR山手線「原宿」駅 徒歩10分
東京メトロ千代田線 副都心線「明治神宮前」駅 徒歩8分
公式HP:https://thefolks-byioq.jp/


■ 物件・クリエイターに関するお問い合わせ
株式会社リアルゲイト
TEL:03-6804-3944 / MAIL:info_thefolks@realgate.jp

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