■プロフィール
岩本 裕
株式会社リアルゲイト 代表取締役
一級建築士。大手ゼネコンでは、主にマンション工事の現場監督とアメフト選手として活動。その後マンションデベロッパーにて土地仕入から企画販売を一貫して経験。2009年8月お台場のtheSOHO立ち上げを機に当社設立、代表取締役就任。現在に至る。
vol.207
JOURNAL - 2024.12.19
JOURNAL - 2024.12.19
vol.207
リアルゲイトと関係者が本音で語り合う「“FIRST ENGINE” Communication Party」トークセッションレポート Vol.1
■イベント概要
リアルゲイトの新スローガン「FIRST ENGINE」のローンチイベントとして、2024年12月5日(木)、東急プラザ表参道“オモカド” 5F「LOCUL」で開催した「“FIRST ENGINE” Communication Party」。イベントの目玉であるトークセッションのレポートをお届けします。
■新スローガンについて
リアルゲイトは「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き⽅に⾃由を」というビジョンのもと、都⼼部を中⼼に様々な空間の企画・運営を⾏っています。こうした取り組みをさらに加速させるため、これまで大切にしてきた想いを体現するスローガン「FIRST ENGINE」を策定しました。⼈やモノが集い、カルチャーの醸成や賑わいが絶えず⽣まれる“⽣きた空間”を創ることに、リスクを恐れず挑むファーストペンギンであり続けたいという思いが込められています。
■セッション概要
リアルゲイトに深く関わりのあるゲストをお招きし、それぞれの視点から見えるリアルゲイトや、それぞれにとっての原動力=FIRST ENGINE、そして未来について語りました。
■プロフィール
岩本 裕
株式会社リアルゲイト 代表取締役
一級建築士。大手ゼネコンでは、主にマンション工事の現場監督とアメフト選手として活動。その後マンションデベロッパーにて土地仕入から企画販売を一貫して経験。2009年8月お台場のtheSOHO立ち上げを機に当社設立、代表取締役就任。現在に至る。
勝田 隆夫
クリエイティブディレクター/LINE-INC. 代表
1972年生まれ。静岡県出身。インテリアデザインを学んだ後、店舗デザイン会社に入社。1996年に清水薫らとともに製鉄工房を備えたデザインチーム「EXIT METAL WORK SUPPLY」を設立。家具のデザインから製作まで行う。2002年にインテリアデザインを軸としたLINE-INC.を立ち上げ独立。現在に至る。
須藤 仁
HUESPACE INC. 代表
大学卒業後、アパレル会社、クリエイターマネジメント会社を経て、2012年、クリエイティブカンパニー株式会社ヒュースペースを設立。「思わず笑みがこぼれるような」「ハッと息をのむような」モノづくりをモットーにアーティストマネジメント、アートディレクション、デザイン事業を軸に活動。 近年はアーティストSHUN SUDOをプロデュースし、京都 両足院での特別展示やクリスチャンルブタンとのワールドコラボレーションを手がける。
■テーマ1
特に印象に残っているリアルゲイトとのプロジェクトは?
須藤
2012年にアーティストで弟の須藤俊と会社を立ち上げて、PORTAL POINT AOYAMAに入居したのがリアルゲイトとの最初の接点でした。一番印象に残っているのは、PEGASUS AOYAMAのウォールアートですね。大きな壁にマンハッタンの街の絵を描かせていただきました。当時まだ実績がない中で、これほど大きな絵を任せていただけて嬉しかったです。この絵をきっかけに他の仕事にも繋がっていきました。
岩本
当時、須藤さんがなるべく大きな絵を描きたいと仰っていたので、できるだけその気持ちを叶えたいと思い、大きな壁を用意しました。むしろこちらからすると、よく受けてくださったなと思いましたね。
勝田
私は2014年にご一緒させていただいたTHE WORKSですね。現在LINE-INC.として入居している物件です。元々目黒区東山にオフィスがあったのですが、ビルが立て壊しになるタイミングで岩本さんから話をいただいて。まだスケルトン状態の現場を見た時に「きた!」と思いました。インテリアにもこだわらせていただいて、来社したお客様からの反応がとても良いです。
岩本
THE WORKSは中目黒駅から徒歩13分、築年数も50年以上でエレベーターのない5階のフロアで、決して条件が良いと言える物件ではありませんでした。周りにも自殺行為じゃないかと言われて(笑)。しかし勝田さんが手掛けたデザインを見て、これはいけるなと。私にとっても伝説の物件ですね。
■テーマ2
人の心や行動を動かす空間とは?
須藤
最近、Ginza Sony Parkで行われた「ART IN THE PARK(工事中)」に参加させていただきました。まだ完成前の工事中の空間をギャラリーにして、アーティストに好きに展示させるという遊び心ある企画です。建築については専門ではないのですが、海外の美術館やギャラリーは余白の使い方が上手いところが多いという印象があって。この企画でも、ルーブル美術館と同じ壁を作って、真ん中にポツンと1つだけスカルプチャーを置きました。実はこのスカルプチャーは別のイベントでも展示販売したのですが、想定ほど反応がなかったんです。ところが今回は問い合わせが殺到。同じ作品でも見せ方によってもこうも反応が変わるのかと、とても面白い体験をさせていただきました。
岩本
余白は大事ですよね。シェアオフィス事業をやっていると、どうしてもできるだけ人を詰め込もうとする癖が出てしまいがちなので、肝に銘じます(笑)。須藤さんは色々な企業とコラボレーションされていますが、コラボする時の基準はあるんでしょうか?
須藤
やっぱり俊本人が好きかどうか、共感できるかどうか、それに尽きますね。クリスチャン ルブタン とコラボさせていただいた時も、はじめは正直悩んだんです。でも担当者の方と直接お話をして、すごく共感できたんです。ブランドアイコンであるレッドソールのハイヒールと、俊の代表的なシリーズであるボタンフラワーとの相性も良くて。ボタンフラワーには平和を繋ぐピースアイコンの意味が込められているのですが、そういった思いに共感し合えたことが大きかったですね。
勝田
私が手掛けているインテリアデザインの仕事では基本的にクライアントがいて、目的があります。その中で大切にしているのは、そこで見える景色や居心地、手触りまで具体的にイメージすること。そして、その時にどういう気持ちになるのかをいつも考えています。例えば、カジュアルなアパレルショップなのに余計な余白や緊張感があると、買う気持ちが起きないなと。ですので、いい意味でカッコ悪くデザインすることもあります。常にその空間を利用する人の気持ちになって、どういうふうに心が動くと目的を達成できるのかを考えるようにしています。
岩本
最近は建築家のネームバリューで仕事を頼む風潮があるじゃないですか。その空間が好きというより、その人に頼んだから良しというような。だけど本来あるべき空間のデザインって、シンプルで何気ないのに心地いいということなんじゃないかと思います。
須藤
そうですね、まさにアートも同じだと思います。歴史に残るようなアートって、その空間に自然に溶け込んでいるものが多いんですよね。
勝田
インテリアデザインを手掛けている身としては、アート頼みになってしまうのも怖いなという思いがあります。それは結局自分の仕事ではなくなってしまうので。無理やりアートを入れるのではなく、アートがあることで成立するような空間を作っていきたいです。
■テーマ3
あなたにとってのFIRST ENGINE(原動力)とは?
須藤
これまでを振り返ると、一番大事なのは自分で動いて体感することだと思っています。2012年に会社を立ち上げて、3年目くらいでようやく仕事が回るようになってきた頃に、俊からニューヨークで個展をやってみたいという話が出たんです。周りの人に相談すると、難しいからやめておけという意見が大多数で。でも、そうであればその難しさも体感してみようということで、やってみることにしたんです。Googleで「ニューヨーク ギャラリー」と調べてヒットしたところを片っ端から回って、作品を持って60箇所くらい飛び込みで話をしにいきました。もちろん多くは門前払いだったんですが、それだけ回ると3箇所くらいは「いいね」と言ってくれるんです。結果ニューヨークでの個展を実現できて、作品もちゃんと売れて、それから毎年ニューヨークで個展を開くようになりました。もちろん失敗も数々ありますが、それも含めてやってみないとわからない。何もしないのが後で一番後悔するので、まずは動いてみることが原動力だと思います。
勝田
すごく普通のことを言うんですが、私はやっぱり仕事を依頼されることですね。世の中に求められていると実感できることが原動力になっています。商業施設やオフィスを作って、クライアントが喜んでくれて、そこに訪れた人が楽しそうに過ごしている姿を見ることができる。だからこそ20年以上も仕事を続けて来られたんだと思います。
岩本
私は前職の中小デベロッパーでの経験が原動力になっています。当時30歳くらいで、何も経験がない中で、初めて仕入れた物件があって。社長が「岩本くんこれやってみなよ」と言ってくださって、そこからどんどん仕事が広がっていったんです。今思うと、社長は私のやる気を見ていたんだと思います。たとえ成果を出せなくても、がむしゃらに頑張っていれば必ず見てくれる人がいる。リアルゲイトを設立してからも、この出来事は大きなきっかけになったと思いますね。
■オーディエンスからの質問
リアルゲイトを一言で表すと、どんな会社?
須藤
創造力のある会社だと思いますね。勝田さんの話にもあったTHE WORKSを初めて見た時に、こんなかっこいいオフィスを作る会社があるんだと感動したことを覚えています。仕事は創造力だと思うのですが、まさにリアルゲイトは新しい物事を創造できる会社だと思いますし、色々なことを学ばせていただきました。
勝田
ノリがいい会社です。前例のないことにも「やっちゃおうよ」と瞬発力を発揮できる会社で、そのノリの良さをずっと持続できることがすごいなと思います。
岩本
そう言っていただけると光栄です。皆さん本日はありがとうございました!
【“FIRST ENGINE” Communication Party】
会期:2024 年 12 ⽉ 5 ⽇(⽊)17:00〜21:00
場所:東急プラザ表参道“オモカド” 5F「LOCUL」(東京都渋⾕区神宮前 4-30-3)
主催:リアルゲイト
WEBサイト:https://jointhub.jp/firstengine/