JOURNAL

vol.197

JOURNAL - 2024.07.11

JOURNAL - 2024.07.11

vol.197

“個”を束ねて”固”にしていく。モノづくりに新しい価値を創造し続ける組織へ。

OMB HARAJUKUに入居する
株式会社KASSEN 代表取締役 太田貴寛さんにお話しを伺いました。




株式会社 KASSEN
代表取締役 太田 貴寛さん

業種   映像制作
入居物件 OMB HARAJUKU
面積   688.61㎡
所在地  東京都渋谷区千駄ヶ谷3-5-1

INTERVIEW

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テレビCMやミュージックビデオの制作をはじめ、配信コンテンツや映画まで幅広いジャンルの映像制作を手掛け、日本のVFX(Visual Effects/視覚効果の略。実写映像にCGなどを駆使して特殊効果を付与する技術)を主軸とし“現実世界”と“仮想世界”を融合したハイクオリティな映像を提供し続ける株式会社KASSEN。

落ち着いた雰囲気と緑豊かな穏やかな街並み、原宿と北参道の間に位置し、多くのアパレル企業と洗練された飲食店に囲まれるOMB HARAJUKUに株式会社KASSENはオフィスを構えています。代表取締役の太田貴寛さんにお話しを伺いました。

― 御社の事業内容について教えてください
一般的には映像制作会社で、映像制作会社の中ではVFXスタジオという部類に分類されると思います。社内にその他のディレクター、編集部署やカラーグレーディング、撮影部なども揃っているので、一概にVFXだけのチームではないですが、主軸の柱になっているのはVFXとなります。アニメーションの部署も作っていて、2Dの手書きのアニメーションでアニメーションブランドとしては「騎虎(きこ)」という名前のブランドで、テレビCM、映画、配信ドラマ、ミュージックビデオなど、幅広い映像ジャンルを運営しています。

▪KASSENが手掛けた作品(一部抜粋)

▲2026年公開目標 劇場アニメ「KILLTUBE」ティザー VFX/Color STUDIO DOTOU 2024

▲オリジナルショートフィルム「大怪獣 vs 巨大少女 / DAI-KAIJYU vs. the Giant Girl」 Dir/VFX/Color KASSEN 2024

― 数ある映像制作会社の中で、御社ならではの特徴や強みについて教えてください
まず、VFXスタジオであるところだと思います。制作現場からプロジェクトの進行管理等、色々なセクションを横断して、映像を一貫したワークフローで作れるところが一つの強みです。

また、VFXと我々が関わっている作品数で言うと約300作品。映画などの長編作品とテレビCMなどの短編作品、どちらも特性は違いますが「長距離走」と「短距離走」のような感じで用途別に対応できるところは、他のスタジオはない強みだと思います。社内のみならず、日本国内外の協力会社との繋がりも多くあるので、そういった会社とコラボレーションしながら、作品内容に合ったチームを組んで制作に取り組めるのも強みです。1~2人しか関わらないような作品から20~30人が関わる作品、多いものだと約100人~200人の人たちが関わる作品もあり、それが常時何十本か並走している状態ですね。

― 赤羽橋・渋谷から拠点を一つにした理由や、「OMB HARAJUKU」に入居する決め手はありましたか?
現在、設立から丸3年、4期目に入るというところで設立自体がコロナ禍のど真ん中の時期でした。その頃は大きい会社が出社ベースからリモートワークベースに切り替えているタイミングで、使わないオフィスを借りるということに対する懸念が大きく、最初は集まって打ち合わせをするような場所だけを借りて、基本的にはリモートワークベースからのスタートでした。

それはそれでうまくいっていたのですが、小さいオフィスを借りていても、一緒にコミュニケーションを取りながら作品を作っていくことや、新人教育などを行う観点で物理的に顔を合わせる場所が必要でした。そういう拠点として赤羽橋も少しずつ増床しながら使っていたのですが、もう少し広い所が必要になり、オフィスを探していたところ、丸々1棟を借りられるこの物件を見つけたので、入居を決めました。スタッフが増えてから箱を用意するか、箱を用意してから入るスタッフを用意するか。皆さん悩ましいところだとは思うのですが、僕らに関しては先に集まれる場所を用意してから、使い方を考えていったという点では、大胆に動けてよかったかなと思います。結果論ではありますが、会社としても持ちこたえることができたので、ちょうどいい選択だったかなと。

▲「OMB HARAJUKU」の特徴的な外観と開放感のある内装部分

― 実際に入居してみていかがですか?
移転前の赤羽橋のオフィスもすごく好きでしたが、今回は原宿と千駄ヶ谷の間というところで周りを歩いている人が実はモデルさんだったり、唐突に街中で写真を撮っている方がいたりする。CG業界はどちらかというとインドア派の方が多いと思いますが、原宿で降りて歩いてくると、すごい人混みの中を歩くような体験もできますし、この辺りまで来ると割と落ち着いていて、環境面でもちょうどいいのかなと思っています。近距離手当なども会社で出しているので、若手がこの辺りに住まいを構えることが増えました。何となく社内の雰囲気が明るくなったかなという感じはしていますね。

― オフィスのレイアウトやデザインについてこだわった点があれば教えてください
使い勝手の面で色々なアイデアを出し数カ月のやりとりを経て内装デザインを決めていく中で、どうしても4階をラウンジスペースにしたいという想いがありました。一人でも多く席に座れるように思い切ってワンフロアを丸々ラウンジスペースにするという選択をして、ミーティングであったり、みんながお昼ご飯を食べたり、新入社員歓迎会、入社説明会などで活用したり、来社があった際にラウンジに通して話をしたりしています。社内が作業場だけだと逆に集まる意味がないと思っていたので、業務は関係なく、色々なセクションの人が集まれるような場所があるといいなと。正直、費用対効果の面ではもったいない部分はあるのですが、4階のラウンジスペースは用意してよかったなと思います。

▲4階1フロアを贅沢に使用したラウンジ / 不定期で開催される朝食会の様子

あと不定期開催ではありますが、朝食会を行ったりもします。飲食をやっているスタッフもいるので、お祭りの屋台で使うセットのようなものをラウンジに持ってきて、ワッフル屋さんをやったり(笑)普段作業場では顔を合わせないけど、ラウンジで初めて顔を合わせるスタッフもいたりします。

そういう意味で“新しい交流が生まれるための場所”でもあると思います。もっと色々な使い方をしていきたいですね。

― 働き方の多様化によってオフィスの在り方や、役割にも変化が起きてきていると思います。
御社にとってオフィスとはどういう場所ですか?また、オフィスをどういう場所にしていきたいですか?

一番は“出社したくなる、来たくなる場所にしたい”という想いがあります。僕らの業種は、他の業種と比べるとフリーランスとしての働き方ができる業種で、それはそれですごく良い働き方だと思いますが、会社の文化や教育には一つの場所に集まってみんなで顔を合わせる必要があると思うので、オフィスがそういう場所になるといいなと思っています。

効率面だけだとリモートも良いと思いますが、集まれる場所ありきでリモートの選択肢もある方が、気分も紛れるのかなと思います。あとはお取引先様で挨拶に行きたいとか、オフィスを見学したいという方も多くいらっしゃいます。「この会社はどこにあるのだろう」というときに、リモートで散っていると、どうしても実態がないのかなと思われてしまうので、実際に会社を見てもらえることで、信頼感に繋がると思います。そういう意味でラウンジの他に絶対つくりたかったのが会社の顔となる「玄関」です。

普通のオフィスは当たり前のように玄関があると思いますが、実際に自分たちで会社をつくる際に玄関や他の企業が普通にやっていることの重要性を改めて実感しました。そこからが会社だよって感じがするんですよね。

▲オフィスの顔となる明るく広々とした「玄関」

▲1階 Preview Room

― 社屋になっている「KASSEN BASE」の名前の由来を教えてください。
社屋の名前を付けることが出来たので、「KASSEN BASE」と名前を付けました。
KASSENという社名は、もともと小人数で作品制作するのではなく、大人数対大人数で集まって作品づくりをしたいという思いから出来ています。「KASSEN BASE」には基地や本陣、自分の陣地や基盤になるような意味が込められています。

― 「KASSEN」ロゴマークもキャッチ―で印象的でした。
コラボレーションの掛け算マークの様なすごくシンプルな記号にしたかったこともあり、「×」マークが出てきました。「KASSEN(合戦)」は戦いなので、つばせり合いのように刀と刀が重なるニュアンスもあり、コラボレーションのマークでもあり、その両方を目指しているマークです。実際、コラボレーションで太字の「×」マークを見ると、自分の会社をパッと思い出したり、日常の中で見るマークが全部KASSENのマークに見えてくる感じになるといいなと思います。そういう意味でも、みんなに受け入れられやすく、覚えてもらいやすいマークになったのではないかなと思っています。

― 今後の展望や目標などありましたら、教えてください。
ここを基盤にしてもっと色んな場所にスタジオをつくったり、思い切って地方に進出してワーケーションをしながら、体は沖縄にいるけど、データはこっち(KASSEN BASE)のデータをいじったりして、働く場所や時間に縛られない環境で、色んな人が働けるように出来るといいなと思っています。

コミュニケーションは苦手だけど“CGを作り続けたい”という人がいるかもしれないし、家庭の事情で東京から離れないといけないけれど、“地方でも東京の仕事を続けたい”とか、多様化する選択肢の中から働き方を自由に選びながら、優秀な人が働き続けられるような会社にしていきたいですね。

▪Company profile
会社名  : 株式会社KASSEN
HP   : https://kassen.tokyo/
業種   : 映像制作
事業内容 : VFX.CGを主軸としたテレビCM.ミュージックビデオ.配信コンテンツ.映画等の映像制作
設立   : 2020年12月


▪物件情報
名称   : OMB HARAJUKU
所在地  : 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-5-1
構造   : 鉄筋コンクリート造 地下1階地上4階
竣工年  :1984年1月(1989年10月※新耐震基準に適合)
リノベーション竣工年: 2019年8月
WEBSITE : https://ordermade-tokyo.jp/for-rent/omb-harajuku/