JOURNAL

vol.191

JOURNAL - 2024.04.08

JOURNAL - 2024.04.08

vol.191

北参道の交差点に誕生したミニマルな複合施設「JINNAN HOUSE」

REALGATE Bldg.に入居する「KIRINZI inc.」プロデューサーの鈴木智彦さんにお話しを伺いました。




KIRINZI inc.
プロデューサー 鈴木 智彦さん

業種   企画制作会社
入居物件 REALGATE Bldg.
面積   505.48㎡
所在地  東京都渋谷区千駄ヶ谷3-55-18

INTERVIEW

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2020年、渋谷と原宿の間にミレニアル世代に気軽にお茶を楽しんでもらうことを目的としてオープンしたミニマルな複合施設「JINNAN HOUSE(ジンナンハウス)」。
こだわりの一杯を提供する茶食堂「SAKUU 茶空(サクウ)」を中心に、フードトラック、イベントスペース、ギャラリーで構成された緑豊かな空間では、都会の喧騒を忘れる穏やかな時間を過ごすことができ、様々な世代が訪れる都会のオアシスとなっていました。
そんな「JINNAN HOUSE」が、昨年10月、原宿と北参道の間に位置する「REALGATE Bldg.」へ場所を移しリニューアルオープンしました。新たなコンセプトを掲げ、人々が集う街の小さな公園のような場所を目指す「JINNAN HOUSE」を手掛ける、クリエイティブプロダクション「KIRINZI inc.(キリンジ)」プロデューサーの鈴木智彦さんに、当社の事業内容や、新しい「JINNAN HOUSE」についてなど様々なお話を伺いました。

Q―はじめに、御社の事業内容を教えてください。
企画、プロモーション、イベントなどが主の仕事で、それに付随する形で、リテールの物販でお店とECを展開しており、この「JINNAN HOUSE」の中で、「SAKUU茶空(サクウ)」という飲食店を構えています。あと、別会社ですが、兄弟会社として出版社があり、「RiCE」という雑誌を作っています。
メインとなる企画、プロモーションの事業の中も大きく二つに分かれていて、一つは、企業さまからご依頼を受けて何かしらを行うということ。もう一つは、企画があって、それに対して資金調達から行う仕事で、いわゆる製作委員会方式のように、資金を集めて、事業計画を立てて、実行までを行っています。
飲食に関しては、最初は、社食をつくりたくて始めました。仕事中はどうしてもコンビニ飯が増えがちなので、社食を作ることで一日の一食でも変えられたらなと思いました。会社として皆が集まれる場所も欲しかったので、社食をやっていこうと思いましたが、我々の規模だと社食だけでは成立しないため、社外にも開放するというところから本格的に始めました。
そのため、社員は社割で食べれるようになっています。無料でもよかったんですが、食べ物を大事にしたいなと思っていて、多少、払うことも大事かなと。出社している時は毎日食べている社員もいます。

Q―起業のきっかけを教えてください。
前の会社を退職する際に、自分のチームのメンバーに退職することを伝えたら一緒に働きたいと言ってくれたんです。僕は元々つくったり、考えたりする事が好きだったので、本当は起業するつもりなんてなかったのですが、これも何かの縁だろうなと思い、2月末に退職をして、2週間後の3月15日につくったのが「KIRINZI inc.(キリンジ)」でした。
それで、いざ始めたらやめられなくなって、とにかく社員の子たちを食べさせるというだけの毎日で、当時はフィロソフィーとか、パーパスのようなものは全くなかったですね(笑)

Q―たくさんのお仕事をされてきた中で、特に印象に残ってる事を教えてください。
まだ若い頃の話になりますが、今の渋谷ヒカリエが建つ前の場所に、日本建築の父といわれた坂倉準三さんが造られた東急文化会館という施設がありました。いわゆるエンタメ施設のはしりのような所で、そこの閉館が決まった際に、最後に色々なことをやろうという企画があり、今のトップクリエイターやミュージシャン、飲食、ファッション関係の方々が集まりました。昼間はプラネタリウム、映画、音楽、夜はクラブになっていたりと、朝から夜中までずっと何かが行われている状態を閉館までの約1カ月間続けたことがありました。
それまでは、終わりが決まっている中で、何かを仕掛けるということがあまりなかったので、最後に街に何か爪痕を残すという発想が新鮮で、終わりに向かいながらも何かをポジティブにしていくような感じがあり、凄く面白かったです。これまで他にもいくつかポイントになる仕事はありましたが、その中でも凄く印象に残っています。
今、振り返ると、当時一緒に関わらせていただいた方々が、皆さん、超売れっ子になられて活躍されていますね。

Q―REALGATE Bldg.入居の決め手は何かありましたか。
渋谷区からは離れないということが前提あった中で、大きな理由は二つあります。一つは、これまでも「JINNAN HOUSE」のことを見てくださっていたREALGATEさんが、”この街の風景が変わるかも”ということでお声掛けいただいたということ。
もう一つは、移転時には植物を全部持っていくことが僕の中でのどうしてもの条件で、今回、普通に考えるととても全部置ける量ではなかったのですが、外を使えるようにしていただいたことで、全部置ける環境を用意していただきました。そのフレキシブルな対応の二つが決め手となりました。

-この建物は形が特殊で使いこなすのが難しいのですが、「JINNAN HOUSE」を展開されていた鈴木さんであれば、この場所を面白く使ってくれるんだろうなと思いお声掛けさせていただきました。
前回のJINNAN HOUSEは、ゼロからの立ち上げで、全部一から用意したのですが、今回、家具はほぼ購入せずに、既存のものを持ってきて当てはめていきました。
例えば、以前は2階のオフィスで使っていたものを、雰囲気に合わせて1階で使ったり、茶室にあった椅子をオープンスペースに持ってきたりと、それぞれ空間との相性を考えて組み合わせています。

▲インテリアは既存のものを活用。新しい空間との相性を考えて配置され以前とはまた違う印象に

植物も置き位置や向きなど、それぞれの好みがあって、中には西日を嫌がる子もいるので、サイズや、見掛け、日当たりの向きなどを考えて配置していく必要がありそれは大変でしたが、パズルのようで面白かったです。
通常は移動させると弱ってしまうことが多いんですが、1カ月が経ってみんな伸びてきているので、この場所が合っているのだと思います。本当に誰一人欠けずに持ってこれたのはよかったです。

▲たくさんの植物に囲まれたJINNAN HOUSEのエントランス

Q―実際に移転してみていかがですか。
自分たちも含めて、「JINNAN HOUSE」をすごく好きでいてくれる方もいらっしゃるので、そのまま前と同じように持ってきても、以前のような庭は存在していないので、恐らく小さくなったねと言われると思っていました。
なので、根本的に考え方を変えて、別物の「JINNAN HOUSE」としてつくっていこうと考えていました。
正直、移転して1カ月ちょっとで、まだ活かし切れてない部分が多く、地下の使い方なども決めきれてはいないんですが、少しコンセプトを変えて、飲食、ギャラリー、オフィスのそれぞれをバージョンアップさせたことで、家具など、置いてあるものは前と同じ雰囲気で、トーンは残っているけれど、前とはまた違うものだよねと皆さんに言ってもらえることはよかったです。
建物も、打ちっぱなしで箱自体が洗練されている分、難しさはありましたが、良くも悪くも牧歌的な空気が薄まってこのエリアらしく洗練された感じになったのかなと思います。

▲JINNAN HOUSE 移転前/移転後

Q―新しいJINNAN HOUSEのコンセプトや特徴を教えてください。
今回の「JINNAN HOUSE」は、“You are in the GREEN”というテーマがあり、年齢的な意味ではなく、いつでも若々しかったり、健康的だったり、芽吹きのようなもので、ある意味、未熟という意味もあると思っています。たまたま会社名の「KIRINZI(キリンジ)」も実は、未完の大器のような意味で、未だ完成していないというような名前です。そういった意味で、未熟さも含めて受け入れられる場所になっていけたら良いなと思いますし、インキュベーション的な意味も含めて、“You are in the GREEN”というテーマにしました。
なので、フロア構成も地下がGROUND(グラウンド)で根っこの部分。ここから色々なものが世に出ていって欲しいギャラリーとイベントスペースで構成されたフロア。

▲地下1階はイベントや展示を行える空間

次に1階がPARK(パーク)、公園のように色々な方々が気軽に立ち寄れる、飲食店、ショップ、キッチンカーで構成したオープンな空間。

▲1階は外と繋がった空間となっており様々な人々が訪れる

最後に2階がSPROUT(スプラウト)で、実(果実)を収穫して、ちゃんとお金を稼げるようになっていけたら良いねという意味の果実の部分で、オフィスフロア。

▲2階はKIRINZI inc.とRICE PRESS INC.のオフィスフロア

今回は、地下のギャラリー、イベントスペース自体にも「diggin studio」という名前を付けています。いわゆるレコードをディグる、探求する意味でもあり、他の意味では、居所や下宿のような意味と、もう一つは、家族や友達、身近な方々と一緒にご飯を食べ始めるという意味があります。探求したり、居所になったり、誰かと一緒に食べ始めるようなことをこのキッチン付きのイベントスタジオで行えるという意味で、「diggin studio」と名前を付けました。
根っこ(GROUND)から育てていって、みんなが集まれる場所(PARK)があって、最後に果実(SPROUT)になったら良いなという思いでこのスリーフロアにしました。

―鈴木さんありがとうございます。最後に一言お願いします。
是非お昼でも食べに来てください。夜は立ち飲みもできますので気軽に飲みにも。「JINNAN HOUSE」はみんなが気軽に集まれる、そんな場所になっていければと思っています。
地下の「diggin studio」も、少しずつイベントや、展示を予定しているので、色々な方々が集まり、本当に北参道の交差点の小さな公園のようになっていきたいですね。

■Company Profile
会社名:KIRINZI inc.        
HP:http://kirinzi.jp/
業種:企画制作会社
事業内容:企画制作プロダクション。ユニークでスタイリッシュなプロモーションやコンテンツの企画プロデュースから、イベント・エキシビションの企画制作や運営・PRまで幅広く展開。さらに、ミニマル複合施設「JINNAN HOUSE」、茶食堂「SAKUU 茶空(サクウ)」の運営。
設立:2006年3月15日

JINNAN HOUSE
HP:https://jinnan-house.jp/
Instagram:instagram.com/jinnan.house/

■物件情報
名称:REALGATE Bldg.
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-55-18
リノベーション竣工年:2019年9月
WEBSITE:https://ordermade-tokyo.jp/for-rent/realgate-bldg/