JOURNAL

vol.059

JOURNAL - 2020.02.03

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vol.059

空間に込められた「こだわり」と「価値観」

THE WORKERS & COに入居する、株式会社ナッシュの代表取締役兼アートディレクターの髙橋 重樹(タカハシ シゲキ)さんにお話しを伺ってきました。




株式会社ナッシュ 代表取締役・アートディレクター 髙橋 重樹さん

所在地  港区東麻布
業 種  広告・企画制作
面 積  161.80㎡(2区画合計)
入居時期 2015年12月
入居物件 THE WORKERS & CO

INTERVIEW

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東京タワーを目の前に臨み、芝公園からも至近の「THE WORKERS & CO」(ザ・ワーカーズ&コー)に入居する「株式会社ナッシュ」。

同社はグラフィックデザインをベースに、メディアを問わず既成の広告表現手法にこだわらない広告の制作、企画制作を行っています。
ソニーやキリンビール、ANAなど大手企業のグラフィックデザインをはじめ、スペースデザインや・ユーザーインターフェースデザインなど、その活躍は多岐に渡ります。

1991年の設立から約29年、“伝わる” 力を持ったクリエイティブを構築し続ける同社の代表取締役兼アートディレクターを務める、髙橋 重樹さんにお話しを伺いました。

■古さは歴史という良さになる

従業員数が増えたタイミングで、移転を検討していたところ、当物件の共用部デザインを手掛けたLINE INC.の代表、勝田さんと旧知の仲だったことから、紹介で当物件を知ったという髙橋さん。

髙橋さん:
「リノベーション完成後、比較的早い段階で検討したこともあり、1フロア全てをつなげて使え、内装が自由に作り込めたんです。さらに屋上にルーフトップがあり、リフレッシュできる空間があることも、決め手になりました。」

▲東京タワーを至近に臨むルーフトップテラス

また当物件はリノベーション完成当時、築49年ととても古いビル。その古さについて髙橋さんは、

「逆に古いビルのほうが、このようにワンフロア全部使えたり融通が利くので、古さは逆に良い歴史という意味に捉えられます。」

実は七里ガ浜に構える同社のハウススタジオも、古い建物を大改修して作るほど、空間をつくることが好きなのだそう。
古いものの歴史に、人が集まって賑やかになり、活気が出ることで、「新しい価値」が生まれている。

▲THE WORKERS & COのラウンジ

■働く空間が価値観を表現する場に

クライアントをよくオフィスに招くと言う髙橋さん。

髙橋さん:
「共感してくれる人が仕事を持ってきてくれたり、自分の価値観をちゃんとわかってくれる人というのは仕事にもつながります。スペースもグラフィックも音楽も全て同じで、ゼロから作る仕事なので価値観が一緒じゃないと仕事の発注はできないじゃないですか。来てもらった人に、パッと私たちの価値基準を理解できるようなスペースで打ち合わせができると一番早いと思います。」

自分の好みの働く空間が、価値観を理解してもらう場に
なっているそう。

▲同社の会議室

七里ガ浜のスタジオもオフィスも、置くものは全て髙橋さんご自身が選んだそうで、以前のオフィスから持ってきた会議室のテーブルは特注品。その大きさ故に、搬入出には苦労したとか。。。
また昔コンベンションセンターで使われていたというナンバリングされたイームズチェアは、色ムラすらもバランスよく感じてしまうほど。

髙橋さん:
「1個ずつオークションで落として集めました。番号があるのが可愛くて。
簡単に手に入るものじゃない物というのは長持ちしますよね。」

▲特注のテーブルや椅子など、思いの詰まった空間

たわみや傷などの年季も、温かみや愛着に変わる。置いてあるもの一つ一つに髙橋さんの思いを感じる空間だ。

■波に乗ってニュートラルな自分に

日々クライアントワークする中で、どのようにインプットやアイデアの蓄積をされているか聞いたところ、

髙橋さん:
「波乗りをするので、そのときは割と雑念は忘れられますね。雑念を忘れるから、そこで思うことって、ものすごくピュアなのかなと。サーフィンをすると自分がニュートラルになれて、気張らないでいられる。何かのヒントにはなる気がします。」


そう優しく微笑みながら答えてくれた。

■どれだけアナログに戻れるか

随所に独自の空間設計が見受けられる同社のオフィス。

髙橋さん:
「一番こだわったのは、本棚の前の廊下です。通路を作るにあたって本棚を間仕切りにしました。」


その言葉通り、実はエントランスに入る前から、ガラスのドア越しに見える本棚の存在感にはあっと驚かされる。

▲同社のエントランス

髙橋さん:
「モノ・コトを創り出す人たちは、やはりどれだけアナログに戻れるかというのが結構大事なんです。
デジタルは、効率的なものにセグメントされてしまっているものが多い。なにかしらフィルターを必ず通ってしまっている。

『アナログを探す』というのは、自分のフィルターだけなので、例えば本をめくるとか、そこから目に付いたもの、自分の頭や目で検索することができるのがやっぱり本かなと。本があるクリエイティブな場所と言うのはすごく重要だと思っていますね。」

■東京タワーを見上げながら

髙橋さん:
「大学時代から漠然と自分で事務所を持つという目標があって、場所も決まっていたんですよ。何をしたいとかそういうことではなくて、自分の姿がそうあることが目標だったんです。」


そんな風に大学時代に抱いていた夢を語ってくれた。
結果、最初に入社した会社を6年間務めて退職し、そのあとに1年ほど別の会社で経験を積んだ後、27歳の若さで独立。
そして現在、会社設立から約30年。設立当初いた広尾から、東麻布に地を変えた同社。

髙橋さん:
「東京タワーの造形美はすごいですよね。近くで見ると、圧倒的な力を感じます。
以前と比べ仕事の幅も相当広がっています。いい意味で会社として成熟してきているのかなと。」


クライアントも多岐に渡り、今なお成長を続ける同社。
こだわりや探求心を忘れずに、常に新しいコミュニケーションを生み続ける髙橋さんや同社のクリエイションは、これからも私たちの日常に溢れていくだろう。

■Company Profile
株式会社ナッシュ
HP:http://nush.jp/
業種:広告・企画制作
設立年:1991年4月


■物件情報
名称:THE WORKERS & CO/ザ ワーカーズ&コー
所在地:東京都港区東麻布1-4-2
構造:鉄骨鉄筋コンクリート造 地下1階地上10階建
竣工年:1966年7月
リノベーション竣工年:2015年11月
WEBSITE :https://theworkers.tokyo/