JOURNAL

vol.055

JOURNAL - 2019.12.05

JOURNAL - 2019.12.05

vol.055

デザインの領域を広げ、新たな価値を生み続ける

THE WORKS ANNEXに入居する「株式会社セイタロウデザイン」の代表取締役 山崎 晴太郎さんにお話しを伺ってきました。




Seitaro Design Inc. 代表取締役 山崎 晴太郎さん

所在地  目黒区青葉台
業 種  デザイン・ブランディング
面 積  128.75㎡(2区画合計)
入居時期 2018年4月
入居物件 THE WORKS ANNEX

INTERVIEW

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目黒川を中心にカフェやショップが並び、緑豊かな道沿いを、流行に敏感な人々が行き交う中目黒。多くのクリエイターが入居する「THE WORKS ANNEX(ザ ワークスアネックス)」にデザイン事務所を構える「セイタロウデザイン」。

ブランディングの観点を踏まえた戦略立案を軸に、CI・広告・カタログ・パッケージ・ウェブサイトのデザインの他、映像・プロダクト・建築まで、多様なチャネルを交錯しながら“線のデザイン“を提供している同社。

今回は上場企業JMCの取締役・CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)や東京オリンピック・パラリンピック組織委員会のクリエイティブアドバイザーも務める、代表取締役の山崎 晴太郎さんにお話しを伺いました。

■進化し続けるクリエイション

セイタロウデザインは、企業のブランディング、プロモーション設計を中心に、グラフィック、WEB・空間・プロダクトと多様なチャネルのアートディレクションおよびデザインワークなどを手掛け、その活動は多岐に渡る。

THE WORKS ANNEXへの移転は2018年の4月。
入居の決め手は、打ち合わせで利用する会議室の独立性と通勤の便利さ。
クライアントとの打合せも多く、プライバシーを重視した空間が必要で、賃貸するオフィスのうち1区画を会議室として利用している。

またなんと、ここに移転をするまでに約12年で7回もの移転を繰り返したそう。

山崎さん:
「僕は同じ場所に定住してしまうとクリエイションが止まる感じがするんですよ。刺激、環境、ルーティン、空気が沈殿し始める感覚があって。まだ止められないという恐怖心みたいなものがあるので、強制的に場所を移動するのが僕にとっては一番いいんですね。外部刺激を入れ替えるために移転をしています。」


一般的にオフィスの定着は安定性の象徴とされているが、山崎さんはあえて移転を繰り返して来た。

山崎さん:
「飽きっぽいんですね。例えば建築だけだとひとつのプロジェクト期間が長いから飽きるんですよ。広告だけだとすごく消費されている感じがして、それはそれで飽きてしまうんですね。最近の案件は、クライアントからの依頼が多く、自社で何かを作って売り出すことはあまりないです。昔は自社でプロダクトを作って売り出そうとしてみたんですけど、やっぱり途中で飽きちゃう(笑)。僕は作ったところで満足をしてしまうので、売ることに対して全く興味を持てないというか、あまり向いてないんですよね。」


自身の性格をそう語るように、常に様々なことに興味を持ち、多岐に渡るクリエイションを手掛けている。

その一つに「いけばな」がある。
師範の資格を持ち、同社の会議室は、仕事の打ち合わせだけではなく、いけばな教室としても活用されているそう。

               ▲会議室には季節に合わせた植栽が飾られている

照明付近等室内の植栽は、季節に合わせていけばな教室を主宰、山崎さんの師匠でもあるTumbler & FLOWERSの渡来徹さんがアレンジしているそうで、打ちっぱなしのオフィスに華やかさがプラスされ、居心地の良い空間となっている。

■アウトプットし続ける秘訣

いけばな、ランニング、スケボー、ピアノまで幅広いジャンルの趣味を持つ山崎さん。

山崎さん:
「趣味がつながって仕事になるんですよ。それこそスケボーとかお花も一生懸命やってると絶対仕事になるなと思う。スケボーは24歳の兄ちゃんに怒られながらやっています(笑)でも面白い。初めてやることはとても楽しいので、遊ぶことが仕事っていう感じですね。」

クリエイティブにアウトプットし続ける秘訣を「遊び続ける」ことだと語ってくれた。
様々な趣味や自身の経験を通して、仕事やクライアントワークには、自分の中に自分と違う価値観を持っていたほうが良い。一見興味がない分野でもやれるなら全部やる、と言うのが山崎さんの信条だ。

■デザインで世の中に還元できるような仕事を

民間企業の依頼から地方公共団体の依頼まで、様々なクライアントから依頼を受ける同社。
山崎さんが仕事をする上で大切にしていることを尋ねると、

“デザインで世の中に還元できるような仕事をすること”

そう答えてくれた。

山崎さん:
「例えば、琉球びんがたっていう沖縄を代表する伝統的な染色技法。着物とかだと最高級にあたるのですが、産業が縮小していたり、そもそも「びんがた」が間違って世の中に伝わっていたり、後継者育成とかいろんな課題があります。僕は、一般社団法人の「琉球びんがた普及伝承コンソーシアム」の理事として伝統を守りながら新たなビジネスモデルを創造していく活動をしています。

               ▲琉球びんがた(出典:Wikipedia)

こういうプロジェクトは、僕らが介入して失敗をしてしまうと、産業自体が多分この国からなくなってしまうかもしれない。僕らも向き合い方を考えなければならないし、もし力になれたとしたら、デザイナーとしては幸せなことだと思います。」

地域産業や医療など、新しいデザインのメスが入っていない分野は積極的に取り組みたいとも話してくれた。
また多くの仕事が、クライアントからの相談や依頼によるもので、コンペはあまり出ないと言う同社。

山崎さん:
「コンペって世の中的には1社しか報われない。それだったらコンペに費やすパワーを琉球びんがたのような案件に使えば、デザインの力できっと世の中ってもっと幸せになる。そういうことをやりたい。困ってる人って結構いっぱいいると思うので。」

プロジェクトにかける思いや、今後取り組みたい事をまっすぐに語ってくれた山崎さん。

表層の美しさだけでない、曖昧さの中にある本質を見出し、最適な手段とデザインで、ありとあらゆる領域に同社のデザインやプロダクトは生まれていくだろう。
今後も山崎さんはじめ同社の活躍から目が離せない。

■Company Profile
株式会社セイタロウデザイン
業種:デザイン事務所
設立年:2008年10月
HP:https://seitaro-design.com/

■物件情報
名称:THE WORKS ANNEX/ザ ワークスアネックス
所在地:東京都目黒区青葉台3-17-9
構造:鉄筋コンクリート造3階建
竣工年:1992年9月
リノベーション竣工年:2018年3月
WEBSITE :https://theworks-annex.tokyo/